大谷 ドジャースと世界最高10年1015億円で契約合意 実った3度目アタック

2023年12月11日 02:30

野球

大谷 ドジャースと世界最高10年1015億円で契約合意 実った3度目アタック
大谷とドジャースの契約合意を伝える代理人事務所CAAのインスタグラムの投稿
 エンゼルスからFAとなっていた大谷翔平投手(29)が9日(日本時間10日)、ドジャースと10年総額7億ドル(約1015億円)で契約合意した。代理人事務所「CAA」が同日、発表した。世界のスポーツ史上最高額となり、最終的に6球団が争った史上最大のFA狂騒曲が決着した。花巻東(岩手)1年時から追いかけたド軍はドラフト時、メジャー挑戦時に続く3度目の猛アタックが実った。
 FA史上に残る大争奪戦に大谷が自身のSNSで終止符を打った。11月6日の交渉解禁から35日が経過。米西部時間9日午後0時4分(日本時間10日午前5時4分)、ドジャースの球団旗をアップし、「決断まで長い時間がかかったことをおわび申し上げます」と謝罪から入ったところもらしさか。続けて「私は次のチームにドジャースを選ぶことを決めました」と記した。

 ウインターミーティング後に急浮上したブルージェイズでも、エンゼルスでもなかった。投稿の3分後には、代理人事務所「CAA」が声明を発表。契約総額は、10年総額7億ドル(約1015億円)。大リーグ公式サイトによるとサッカー・アルゼンチン代表のFWメッシがバルセロナ時代の17~21年に結んだ6億7400万ドル(約977億3000万円)を上回り、プロスポーツ世界最高額を更新した。平均年俸は7000万ドル(約101億5000万円)。海外選手獲得ルールに制限され、23歳だった17年オフにマイナー契約で海を渡り、1年目は最低保障の年俸54万5000ドル(当時約6000万円)だった。二刀流で歴史を変え、唯一無二の存在となった。

 9月の右肘手術の影響で、投手復帰は25年となる。契約期間中に破棄できるオプトアウト条項はない。「現役生活の最後の日まで、ドジャースのためだけでなく、野球界のために前向きに努力し続けたい」と記し、“生涯ドジャース宣言”ともとれる熱い思いと、野球の伝道師として駆け抜ける覚悟を示した。

 ジャイアンツ、カブス、ブレーブスも含む最終候補6球団に先んじて、1日にドジャースの本拠地ドジャースタジアムを視察も兼ねて訪問。大谷は育成や傘下マイナー組織の現状などを質問し、愛犬の話題も出たという。ド軍は花巻東の1年時から担当スカウトがほぼ全登板試合を視察し、密着マークしてきた。12年9月には日米球団のトップを切って佐々木洋監督と面談して育成プランを説いたが、1位指名した日本ハムに入団。17年オフにメジャーに挑戦した際も最終候補まで残ったが、当時はナ・リーグにDH制がなく二刀流でのプレーが制限された。2度敗れたド軍の熱意がついに実った。

 大谷サイドから交渉過程に関して強いかん口令が敷かれ、前例のない沈黙のFA戦線だった。そんな中、5日にはデーブ・ロバーツ監督が、大谷と面談していた事実を公表。交渉結果への影響が懸念もされていたが、杞憂(きゆう)だった。

 赤から青へ――。大谷の夢は初のPO進出、そしてワールドシリーズ制覇。過去61、66年のフランク・ロビンソン(レッズ、オリオールズ)しかいない両リーグMVPにも期待がかかる。全米を席巻した二刀流第2章は、同じ南カリフォルニアで紡がれていく。。

 ◇大谷 翔平(おおたに・しょうへい)1994年(平6)7月5日生まれ、岩手県水沢市(現奥州市)出身の29歳。花巻東から12年ドラフト1位で日本ハムに入団。投打「二刀流」でプレーし、16年にリーグ優勝と日本一に貢献してパ・リーグMVP。ポスティングシステムで17年オフにエンゼルスへ移籍し、18年に4勝&22本塁打で新人王。21年に9勝&46本塁打でア・リーグMVPを獲得。今季は44本塁打で日本選手初の本塁打王を獲得し史上初の2度目の満票でアMVPに輝いた。1メートル93、95キロ。右投げ左打ち。

 ▽ロサンゼルス・ドジャース 1884年にブルックリン・アトランティックスとして創設。1890年にニューヨークを本拠地としてナ・リーグに参入し、1932年に球団名をドジャースに。47年には黒人初の大リーガーであるジャッキー・ロビンソンがプレーした。55年にワールドシリーズ(WS)を初制覇し、58年にロサンゼルス移転。2020年に32年ぶりにWSを制した。リーグ優勝24度、世界一7度。野茂英雄を筆頭に過去多数の日本選手が所属した。本拠地ドジャースタジアム(収容人員5万6000人)。デーブ・ロバーツ監督。

 ≪近日中に入団会見か≫大谷と代理人事務所「CAA」は移籍を発表した一方、ド軍側はまだ公式発表をしていない。現在メジャー40人枠に空きがなく、あるド軍担当記者は「別の選手のトレードが成立後に発表されるだろう」と推測した。入団会見は球団からの発表後、近日中に行われるとみられ、ドジャースタジアムのグラウンドや、22年の球宴前日会見で使用した中堅後方の広場が会見会場となる可能性がある。

 ≪運命の「12.9」に大争奪戦終止符≫「12・9」は大谷にとって運命の日だった。代理人事務所がドジャース移籍を発表したのは米西部時間で9日午後0時(日本時間10日午前5時)過ぎだった。花巻東3年だった12年は、ドラフト1位指名された日本ハムへの入団を表明したのが12月9日。「将来的には凄く(メジャーに)行きたい」と話した。メジャー移籍を目指した17年、本拠地エンゼルスタジアムでファン公開の入団会見を行ったのが12月9日(同10日)だった。3度目の12・9。偶然の一致なのか、会見の場などで真意が話されるのが待たれる。

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