大谷番10年のスポニチ本紙記者が解説 ドジャースを選んだ3つの理由

2023年12月11日 02:30

野球

大谷番10年のスポニチ本紙記者が解説 ドジャースを選んだ3つの理由
MLB公式のインスタグラムに投稿された(左から)ベッツ、大谷、フリーマンの画像
 なぜ、大谷はドジャース移籍を決断したか。迷い、考え抜いた結果であることは間違いない。
 (1)二刀流選手の価値=契約総額

 ある関係者は、大谷の優先事項に関して「契約総額を大事にしている」と語った。大谷は物欲が少なく、お金に無頓着で知られるが、真意は違う。大谷にとって契約総額=選手の価値だった。二刀流選手として迎えた初めてのFA市場。今回の契約総額が今後の前例になることを意識した。かねて二刀流選手の台頭について「良いサンプルとして良い成績が残るように頑張りたい」と話したように、史上初めて2度目の満票MVPに輝いた自身が10年総額7億ドル(約1015億円)という巨額オファーを受けることで、将来の後進たちが正確に評価されることを強く望んだ。

 (2)世界一を目指す球団

 大谷は今後数年プレーオフ(PO)と世界一を狙う球団でのプレーを熱望していた。3月のWBC決勝前に大谷が「憧れるのをやめましょう」と語った選手の一人であるベッツ、フリーマンを中心に打線は強力で、大谷が過去3年のように敬遠される心配も少ない。資金力に余裕があり、11年連続PO進出中。エンゼルスでの6年間は一度もPOの舞台に立てなかった。「(順位争いで)ヒリヒリする9月を過ごしたい」と語る大谷の希望に合致した。

 (3)リハビリ環境や医療スタッフ

 本拠地は、今季まで所属したエンゼルスの本拠地から高速道路で約1時間の距離。練習環境を変えず、リハビリに集中できる。2度目の右肘の手術の執刀医は、前回の18年と同じニール・エラトロッシュ医師で、ド軍のチームドクターを務める。さらにド軍のトレーナーのバーナード・リー氏は、18年はエ軍のトレーナーとして大谷の右肘のリハビリを担当。“成功体験”を知る仲間たちの存在は心強い。ロバーツ監督もウインターミーティング(WM)中に「うちのスタッフは最適な復帰時期を導き出せる」と自信を示していた。

 今回の交渉でWM前や期間中に移籍先候補の球団施設を訪れた行動は、大谷らしかった。報道陣がWM会場に大挙して訪れるため、球団施設はもぬけの殻。大谷側にとっては、いつもより“目”をくぐり抜けやすくなっていた。今季も9月4日の試合前に報道陣がネズ・バレロ代理人の会見に殺到している隙に、屋外打撃練習に参加。右脇腹を負傷した際、目撃者が極端に少なかった理由だった。

 ド軍とエ軍の違いの一つがメディアの数と重圧の大きさ。大谷がどう対処していくかも注目点の一つになる。(柳原 直之)

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