【内田雅也の追球】食い下がる姿勢を見せた9回の3連打 ベンチの佐藤輝は何を感じたか

2024年03月17日 08:00

野球

【内田雅也の追球】食い下がる姿勢を見せた9回の3連打 ベンチの佐藤輝は何を感じたか
<中・神> 9回1死一塁、阪神・植田は左前打を放つ(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 【オープン戦   阪神3ー4中日 ( 2024年3月16日    バンテリンD )】 ベンチにいた佐藤輝明は見ていただろうか。
 2点を追う9回表、中日クローザー、ライデル・マルティネスに食い下がり、3連打で1点を返した打撃である。

 1死から植田海は追い込まれながらファウル4本で粘り、左前打した。高寺望夢も追い込まれてから右前打でつないだ。ともに途中出場でこの日初打席だった。

 1死一、二塁。先発3番で起用された前川右京は初球フォークを右前に運んで適時打、1点差に迫ったのだった。

 最後は大山悠輔の遊ゴロ併殺打、「GEDP」(ゲーム・エンディング・ダブルプレー)で万事休したが、見応えのある粘りだった。

 ちなみにX(旧ツイッター)の「青味噌」のポストによると、マルティネスは2018年の来日以来、バンテリンドームでの公式戦登板141試合で1イニング3安打を浴びたことがないそうだ。オープン戦とはいえ、前日に連打、この日3連打と阪神打者はよく食い下がっている。

 この日は佐藤輝が先発を外れた試合だった。

 前日、0―0の9回表無死一、三塁で空振り三振に倒れた佐藤輝について監督・岡田彰布は痛烈に言い放っていた。「前に飛んだら何かが起きる。三振は何も起きない。結果見とったら分かるやんか、ええか悪いか」

 岡田は佐藤輝に限らず選手を特別扱いしない。佐藤輝はオープン戦で打率・128まで落ち込んだ。結果を出せなかったら使わない。それだけのことだ。

 「監督の判断だけど、今までの打撃を見ていれば」とヘッドコーチ・平田勝男は言う。「あの、最後の食い下がって連打する打者たちを見ると、余計に思うね。何とかしようとする打撃姿勢がほしい」。明大の名物監督だった島岡吉郎の「何とかせえ」の精神である。

 代わって先発三塁で起用した糸原健斗は1回表に左前適時打を放つなど自分のできる仕事に徹している。

 先発から外した佐藤輝は結局、最後まで起用しなかった。格好の場面と見えた8回表の好機でも代打もなかった。昨年も2軍降格させたように、岡田は佐藤輝の三塁を絶対的とはみていない。

 岡田も当然、期待はしている。奮起を望んでいるのだ。ならば、佐藤輝はあの最後の3連打を見て何かを感じなければいけない。 =敬称略=
 (編集委員)

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