阪神・前川 木浪のゲキに応え、1年前の涙を払しょくする代打タイムリー「ヒーローチャンス!」

2024年07月29日 05:15

野球

阪神・前川 木浪のゲキに応え、1年前の涙を払しょくする代打タイムリー「ヒーローチャンス!」
<神・中>6回無死一、三塁、中前に勝ち越し適時打を放つ阪神・前川(撮影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神4ー3中日 ( 2024年7月28日    甲子園 )】 熱狂と歓声に背中を押され、阪神・前川が一振りに魂を込めた。1―1の6回、佐藤輝、大山の連打で築いた無死一、三塁。「次の1点」が試合の行方を左右する重要局面で、21歳が野口の代打で登場。フルカウントからの6球目、岩崎が投じたフォークを執念で拾った。白球を中前へと運び、三塁走者・佐藤輝を本塁へと迎え入れた。
 「大事な場面だった。ランナーを還すことができてよかった」

 雪辱を期す夜でもあった。27日のカード2戦目、第4打席の初球をファウルした際に右足がつり、島田との途中交代を余儀なくされた。猛暑と緊張感が引き起こしたアクシデントとはいえ、1軍完走を期す若虎は「次はないようにしたい」と猛省。予期せぬ離脱の借りは、一夜にしてきっちりと返してみせた。

 快打の裏には先輩からの熱いエールがあった。代打へと向かう直前、次打者の木浪から声を掛けられた。「ヒーローになってこい!ヒーローチャンス!」――。いつだって心の支えになってくれる頼もしい存在。思えば、涙に暮れたちょうど1年前の夜も、前川の隣には木浪がいた。

 昨年7月28日の広島戦。3打席連続三振で12打席連続無安打のトンネルに迷い込み、失意のあまり落涙した。1軍定着へ悩み、戦い続けた過去の自分と重なったのか、心情を理解された木浪からベンチで励ましの言葉をもらった。直後の8月2日には体調不良で2軍落ちし、1軍復帰はかなわなかった。時を経て、涙の数だけ強くなった。当時「もっと強くならないと…」と弱々しかった前川はもういない。首位争いを繰り広げる猛虎において、立派に中軸を務める男に生まれ変わった。

 昨年は寮の自室から見届けるしかできなかったヒリつく8月の激戦。主役に躍り出る準備はもうできている。「3連勝できた。もう一度きっちりと(試合に)入っていきたい」。混セからチームを押し上げるのは、前川のバットだ。(八木 勇磨)

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