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鳥越裕介氏 同学年の田之上慶三郎は今、カフェのマスター 彼のいれたカフェラテが最高の癒やし

2024年10月08日 05:00

野球

鳥越裕介氏 同学年の田之上慶三郎は今、カフェのマスター 彼のいれたカフェラテが最高の癒やし
田之上慶三郎さん(左)が、福岡県糸島市に開いたカフェ「itoshimacco」を訪れた鳥越裕介氏
 【鳥越裕介 かぼす論】福岡県糸島市。筑前前原駅のすぐそばにカフェ「itoshimacco」はある。同学年のマスターはユニホームより似合うのではないかと思うほど、エプロン姿がなじんでいる。決まって注文するのはカフェラテ。普段は牛乳を入れない派だが、昨年11月にこの仕事を始めたばかりの田之上慶三郎の入れるカフェラテは凄くおいしいし、少しでもラテアートの練習になればと思っている。
 1999年の6月の終わりに中日からダイエーへトレードが決まって、誕生日だった7月1日に1軍に上がったが、それまで1軍にいた田之上とは入れ替わる形だった。だからその年はほとんどしゃべった記憶がない。そんな中、同学年に大越基もいた。2000年のオープン戦の時期に、1軍にいた私と大越は2軍の試合に出ることになり神戸へ行くことになる。大越が当時、2軍にいた田之上と3人で食事をセッティングしたのだが、発案者がケガで来られなくなる。2人で「どうする?」って言い合って、初めて焼き鳥に行って話をしたら一発で仲良くなった。

 同じ、九州出身で同学年というのはもちろんある。人間性、純粋に人間力かなぁ。内に秘めた頑固さ。それは凄いものがある。奥さんが過労で倒れ、ユニホームを脱いで店を手伝うと決めた時、一番に教えてくれた。「決めたんか?」と言ったら「決めた」と言った。自分で決めたら、絶対に変わらないというのを知っているし、そういう表情だった。そこから応援する側に回った。

 08年7月27日に妻を亡くした。私の中で一番、きつい時に救われた。亡くなって10日後くらいに、しんどくて、ふと田之上へ「なにしてる?」と連絡した。互いの家は同じ福岡市といっても距離があったが、午後10時ごろにもかかわらず、来てくれた。寝られていなくて、2人でお酒を飲みながらいろいろな話をした。まもなく、ソファで寝落ちしてしまった。2時間くらいたったころに目が覚める。彼は黙って帰っていた。こんなことを逆にできるかなと。一番、きつい時にそこにいてくれた。

 昨年、オープン前に来たら思いのほか、ちゃんとコーヒーを入れていた。何年か前までは彼の入れるコーヒーを飲むとは思わなかったけど、凄く穏やかな顔をしていた。見てほっとしたことをはっきりと覚えている。

 糸島にできた私にとっての癒やしの場所であり、パワースポット。みなさんもぜひ、マスターになった田之上に会いに行ってほしい。 (野球解説者)

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