バルト アーツ圧殺!総合初陣3―0完勝 小路氏「未完の大器」
2016年01月01日 05:30
格闘技
大相撲の元大関、バルト(31=エストニア)が格闘技デビュー戦を白星で飾った。元K―1王者のピーター・アーツ(45=オランダ)と3分3Rの特別ルールで対戦。相撲仕込みの突進力を生かして何度もテークダウンを奪い、判定3―0で勝利をもぎ取った。元横綱のプロレスラー、曙太郎(46)はボブ・サップ(41=米国)と03年大みそか「Dynamite!!」以来12年ぶりに再戦。2R途中までの負傷判定0―3で返り討ちに遭った。
勝ち名乗りを受ける喜びは格別だった。しこ名の把瑠都は、リングネームのバルトに変わった。呼び上げてくれるのは、行司ではなくリングアナウンサーだ。それでもバルトの笑顔は心底うれしそうだった。
「相撲界を離れて2年間は寂しかった。緊張感やドキドキがなかった。久しぶりに緊張感があって、最高の気持ちで一年が終わった」。13年に引退してから2年余り。怪力でならした角界でのスタイルは健在だった。アーツの打撃を恐れず突進。組みつくと大内刈りでテークダウンを奪った。170キロの巨体で押さえつけ、白熊のような太い腕でのパウンド「バルトハンマー」。力任せに首を絞め、相手の体力をすり減らした。2Rに裸絞めを決められかけたが何とか脱出。判定3―0は妥当な結果だった。
初陣に向けて元総合格闘家の小路晃氏に弟子入りし、3カ月の短期集中練習に取り組んだ。12月には富山県で1週間の山ごもり合宿も敢行。力士時代とは違う部分に筋肉痛を感じつつ、徐々に力士から脱皮していった。
相手がジェロム・レ・バンナ(43=フランス)からアーツに代わったのは2日前。しかし3Rにはアーツ得意のハイキックを巧みにブロック。「うまく止められた」と格闘センスの良さを示した。一方で3分で息が上がるスタミナ面など課題も多い。小路氏は「やってきたことの半分は出せなかった。こんなもんじゃない。未完の大器」と次戦以降に期待した。
圧力勝ちの内容を「押して押して、押し出しのイメージがあったかも」と振り返ったバルト。総合格闘技で問われるのはその先だ。丸い土俵から四角いリングへ。「日本一、世界一を目指して頑張る」。新弟子バルトの“横綱”への挑戦はまだ始まったばかりだ。 (雨宮 圭吾)
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