もしもジョン・レノンが生きていたら

2024年07月21日 08:00

芸能

もしもジョン・レノンが生きていたら
ニッポン放送のイベント「傑作『MIND GAMES』とジョン・レノンの真実」に出演した上柳昌彦さん、湯川れい子さん、萩原健太さん Photo By スポニチ
 【牧 元一の孤人焦点】もしもこの時代にジョン・レノンが生きていたら?それはよくある問いではあるが、長くザ・ビートルズのメンバーの音楽を愛して来た我々にとっては胸に突き刺さるものだ。
 もしもジョンがいま生きていたら?彼の4作目のソロアルバム「マインド・ゲームス」のアルティメイト・コレクションが7月12日に発売され、ニッポン放送のイベント「傑作『MIND GAMES』とジョン・レノンの真実」が20日に同局イマジンスタジオで開催される中で、その答えを考える機会を得た。

 音楽評論家の湯川れい子さんはイベントの中で「絶対に『戦争をするのは愚かなこと』と言うと思う。トランプ前米大統領はウクライナとロシアの戦争について『自分が当選すれば戦争を止めてみせる』と語ったが、戦争が終わるのだとしたらジョンは支援するかどうか…」と話した。なかなか興味深い想像だ。

 「もしも」の答えを見つけるのは難しい。そもそも、全てが想像である限り、完全な正解など存在しない。しかし、自分自身を納得させる答えを見つけることはできる。アルバム「マインド・ゲームス」の表題曲にはその明快なヒントがある。

 「マインド・ゲームス」が発売されたのは1973年。当時はまだベトナム戦争が続いていた。ジョンは69年、「平和を我等に」で♪だけど僕らに大切なのはこれなのさ…「平和を我等に」ただこれだけさ──と歌い、71年、「イマジン」で♪想像してごらん すべての人々が 平和な暮らしを送っていると──と歌った。

 そして、「マインド・ゲームス」では♪戦うよりも、愛し合おうよ 聞き飽きているのはわかっているけど──と歌っている。ジョンはアルティメイト・コレクションの解説書に収められた談話の中でこの曲について「もともとは<メイク・ラブ・ノット・ウォー>というタイトルでね。でも、すっかり常套句と化して、もう口にできなくなったので、ぼかした書き方にしたんだけど、ストーリー自体は変わっていない」と話している。

 もしも戦争が続くこの時代にジョンが生きていたら?彼の創作活動から、その答えは容易に想像できる。トランプ前米大統領を支持することはないにしても、反戦の思いと平和への願いを楽曲で表現しただろう。生きていれば83歳のジョンはともかく、「マインド・ゲームス」の時と同じ32歳のジョンならばそうしただろう。どんなメロディーを作り、そこにどんな言葉を乗せただろう…。

 歴史に「もしも」はなく、それを聴くことはできない。しかし、今、最新のリマスターによって音が明確になった「マインド・ゲームス」はある。その歌を聴くと、1973年と2024年、我々が必要としている音楽はほとんど変わっていないと痛感する。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部専門委員。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。

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