金子達仁氏 日本は強くなっている。まだまだ強くなる
2022年06月11日 06:05
サッカー
わたし個人に関する限り、これはもう、完全な“ブラジル効果”というしかない。ブラジルをてこずらせる試合をやった以上、他の国には勝って当然、圧倒して当然と思うようになった自分がいる。それはどうやら、選手たちも同じだったらしい。
彼らは、得点を奪っても冷静だった。中国やベトナムから点を奪ったときと同じぐらいに冷静だった。オーストラリア戦とは比べ物にならないぐらいに冷静だった。
ブラジル戦を経験したいま、少なくともわたしは、アフリカの強豪を「ぬるい」と感じるようになっていた。きっと、選手たちもそう感じていた。
ただ、冷静に考えてみるとこれはちょっと凄いことである。
敵地だったとはいえ、ほぼ日本に圧倒される形で押し切られたガーナは、しかし、英国ブックメーカーのオッズでは日本よりもだいぶ上にランクされている。ベールを擁するウェールズより優勝のチャンスはある、とまで見られている。
そもそも、前回のW杯で日本はアフリカ代表のセネガルには勝てなかった。8年前はコートジボワールにやられた。前半は頑張っても、後半はアフリカのパワーに押し切られる。敗因には必ず運動能力の差があげられる。それがブラック・アフリカと対戦する際の常であり、はっきり言えば、日本にとっては天敵に近い存在だった。
それが、たった4年前のことなのだ。
もちろん、親善試合とW杯とでは局面局面の強度に違いは出てくる。ただ、W杯に出場するどんな強豪国であれ、この日の日本ほどにガーナを圧倒するのは簡単な事ではないし、4年前までの日本にできる芸当では断じてなかった。
パラグアイ戦、ブラジル戦で感じていたことが、このガーナ戦を経て確信に変わりつつある。
日本は、強くなっている。
技術的、戦術的な問題以前に、試合に臨むメンタリティーが違ってきている。アジア以外の世界を下から仰ぎ見た時代は終わり、戦う前から相手にのまれているようなことはほぼなくなった。パラグアイに、ガーナに圧勝したからといって狂喜する日本人もいなくなった。
しかも、いまの日本代表は完成形にはほど遠い。というより、森保監督の頭の中にすら、確固たる完成形はないというか、ひょっとすると、まだ完成形自体を求めていないのかもしれない。決めるのは先。いまは模索の段階、とでもいうか。
だとすると、4年前を思えば別次元の意識を持つようになった日本代表は、まだまだ強くなる。多くの選手が波に乗る中、一人苦悩し、空回りしていた久保に代表初ゴールが生まれたのも喜ばしい。これで肩の荷を下ろし、以前の奔放な姿を取り戻してくれれば、日本代表の攻撃には新たなオプションが加わることになる。(スポーツライター)
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