C大阪ヤンマーレディースMF小山史乃観 数センチを悔やみ、流した涙は世界の舞台で活躍する糧に

2023年09月13日 07:00

サッカー

C大阪ヤンマーレディースMF小山史乃観 数センチを悔やみ、流した涙は世界の舞台で活躍する糧に
C大阪ヤンマー・小山史乃観 Photo By スポニチ
 【スポニチ蹴球部コラムFootひと息】アスリートが精いっぱいプレーし、思わず感情があふれた場面に立ち会えば心を揺さぶられる。先日そういうシーンがあった。
 8月末に開幕したWEリーグカップ。今季から加入したC大阪ヤンマーは今月3日の第2節、初めてホームで2989人の観衆を集め、広島戦に臨んだ。前半36分に先制しながら1―2で競り負けた。1点を追う後半45分、同点弾かと思われたMF小山史乃観の右足から放たれたシュートは無情にもクロスバーに、はね返された。

 まだ18歳ながら21年には、なでしこリーグ史上最年少でベストイレブンに輝き、昨年はA代表も経験した未来のスター候補だ。試合後のミックスゾーン。「実力不足。勝てなかったのは自分の責任だから……」。そう言葉を発すると、目を潤ませ、声を詰まらせた。

 くしくも鳥居塚伸人監督が掲げてきた「数センチにこだわる」という言葉が、試合結果として明確に示される形になった。後日、練習を取材した際に小山が明かしたのは「一瞬の迷い」だった。「下に打つか、上に打つかで、本当にちょっと(の時間)なんですけど、それがああいう結果になってしまった。試合後のミーティングでも監督から“それも技術”と言われました」。一瞬の判断の重要性を改めて認識したという。周囲の誰もが認める練習の虫。「自分が納得いくまで終わりたくない。一緒に練習してくれるチームメートがいるので、凄くありがたいなと思います」。成長できる環境にいることに感謝する。

 涙は無駄ではなかった。10日に第3節の千葉戦では前半35分、GKがはじいた、こぼれ球に反応。素早く詰めて先制ゴールを奪い、チームを2―0の勝利に導いた。反省をすぐに結果につなげられるところが、背番号10の強みだ。日本代表に選ばれている18日開幕のアジア大会を経て、来年のパリ五輪に「何としても」選ばれて活躍するという目標もある。あの日、数センチを悔やみ、流した涙があったから――。世界を舞台に活躍した小山がそう振り返る時が、必ず来ると信じている。(北野 将市)

◇小山 史乃観(こやま・しのみ)2005年(平17)1月31日生まれ、大阪府出身の18歳。小2から太田JFCでサッカー始め、小4から塚原サンクラブに移籍。中学校からC大阪下部組織へ加入。C大阪堺ガールズ、C大阪堺レディースを経て、今年2月から6月末までINAC神戸へ期限付き移籍。23―24シーズンから古巣に復帰。1メートル60、52キロ。利き足は右。

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