【アジア杯】林陵平氏が読み解くイラク戦 攻守両面でちぐはぐ「負けるべくして負けた」

2024年01月21日 04:45

サッカー

【アジア杯】林陵平氏が読み解くイラク戦 攻守両面でちぐはぐ「負けるべくして負けた」
<イラク・日本>前半、試合に臨む久保(右)と南野(撮影・西海健太郎) Photo By スポニチ
 【アジア杯1次リーグD組   日本1―2イラク ( 2024年1月19日    カタール・アルラヤン )】 アジア杯で3大会ぶり5度目の優勝を狙う1次リーグD組の日本代表は19日、イラクに1―2でまさかの黒星。相手の術中に完全にはまって連勝は10でストップし、1位通過の可能性が消滅した。現役時代はFWとして柏でJ1制覇も経験し、現在は理論派の解説者としても活躍する東大サッカー部前監督の林陵平氏(37)が、DAZNで解説をした試合を改めて徹底分析。敗因や今後の課題など鋭い視点で迫った。
 対アジア勢には15戦ぶりの敗戦となったイラク戦を、林氏は「負けるべくして負けた試合だった」と総括した。

 では、その原因とは?林氏がまず挙げたのが、人選と配置の問題だ。三笘の復帰が待たれる中、森保監督は左MFに絶好調の南野、トップ下に久保を起用。だが「4―2―3―1の中で南野が(左サイドから)かなり中に入ってきて、トップ下の久保とプレーエリアがかぶった」ことで「真ん中で渋滞を引き起こした」という。

 さらに2列目と1トップの浅野の組み合わせも「背後に抜ける動きが得意な浅野を生かす縦に速いサッカーなのか。コンビネーションプレーが得意の久保、南野の2列目に、前向きな状態でボールを集めるのか。狙いが明確でなかった」と分析。後者なら1トップには「ポストプレーにたけた上田の選択肢もあった」と指摘した。

 また守備も「18番(アイメン)にシンプルにロングボールを多用してきた」相手の攻撃に対し、「プレスが曖昧で最終ラインも低く、チーム全体がコンパクトにできないため、セカンドボールも全部、拾われていた」。まさに適材適所を欠いた人選が、攻守両面での悪循環も引き起こしていたようだ。

 その象徴的シーンが、右サイドを崩された2失点目。菅原をかわした相手の左サイドバックに対し、日本は遠藤、さらに右センターバックの板倉がつられて対応。「あの場面も落ち着いていたら、サイドバックは遠藤に任せて、板倉はボックスの中で守備をして、(得点を決めた)18番に対しては谷口がつけたと思う」と分析する。

 打開を図った後半はスタートから2列目の配置を右から久保、南野、伊東に変更。「自分たちのプレーエリアを守って、幅をうまく使えたから、自分たちのスペースが生まれた」ことでリズムをつかんだ。だが後半16分に久保→堂安、浅野→上田の2枚代えで、「流れが良くなってきた中で、少し自分たちで(勢いを)また手放してしまった」。

 イラクは後半20分過ぎからシステムを5―4―1に変更し、自陣に引いてスペースを消し守備を固めてきた。その中で森保監督は同29分、本来ならスペースがあって生きるタイプの前田を左MFで投入。その交代策にも「意図があまり感じられなかった」と指摘する。

 「力のあるイラクが、完璧なゲームプランで日本を上回った」という黒星。今後へ「これを教訓にどう立ち上がるかが重要」と林氏。22年W杯カタール大会の初戦でサウジアラビアに敗れ、そこから復活して優勝したアルゼンチンを引き合いに出し「相手が日本に対してリスペクトをし、さまざまな戦略を練ってくる中、その対策をいかに試合中に気づき上回れるかが大事」と期待を口にした。

 ◇林 陵平(はやし・りょうへい)1986年(昭61)9月8日生まれ、東京都八王子市出身の37歳。東京Vの下部組織出身で、明大を経て09年にトップ昇格。10年に柏へ移籍し、同年にJ2優勝、翌年にJ1制覇を経験。その後は山形、水戸、町田、群馬など主にJ2でプレーし、20年に現役引退。引退後は指導者と解説業をこなし、21~23年まで東大ア式蹴球部(サッカー部)の監督を務めた。今年S級コーチ養成講習会を受講予定。1メートル86、80キロ。利き足は左。

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