経営権譲渡のINAC神戸 澤穂希らと一時代築いた名物オーナー…すべては女子サッカーのため

2024年02月26日 17:21

サッカー

経営権譲渡のINAC神戸 澤穂希らと一時代築いた名物オーナー…すべては女子サッカーのため
INAC神戸前オーナー・文弘宣氏 Photo By スポニチ
名門・INAC神戸が「アスコホールディングス」から「大栄環境株式会社」に株式譲渡されることが26日、決定。3月1日付で新経営体制が発足する。
 INAC神戸レオネッサを運営するアイナックフットボールクラブ株式会社が同日に神戸市内で会見を開き、アスコから大栄環境に株式が100%譲渡され、連結子会社とする譲渡契約が締結されたと発表した。「INAC神戸」のクラブ名は変更せず、本拠も引き続き神戸市に置く。

 経営から身を引くことになったが、前オーナーである文弘宣会長の存在なくしてINAC神戸、さらには女子サッカー界の隆盛はなかっただろう。

 産声を上げたのは01年と“新参者”だったが、05年にはLリーグ(現WEリーグ)に参戦。当時、選手はアルバイトや社員として働きながら夜に練習をする二足のわらじが当たり前だった。

 ところが、INAC神戸は文会長のグループ企業で選手を雇用し、社業を免除とする事実上のプロ選手として契約を結んできた。これにより、2部練習や長期合宿なども可能に。“選手ファースト”を貫いたことが、強化につながり結果が出た。

 「数億円じゃすまない」というほど、お金をつぎ込んできたが、目標としていたのは女子サッカーのクラブとして独立採算で運営できること。スタッフにハッパを掛けながら、一口スポンサーなどあの手この手で運営費用を集めた。

 転機となったのは、2011年。プロ契約を打ち切られた澤穂希さんらライバル日テレのスター選手にオファーを出した。「澤さんは日本の宝だから。女子サッカーのためにもうちでプレーしてもらいたかった」。批判を受けながらもオファーを受けた澤さんは昼間に体を動かすことのできる最高の環境を手に入れた。心身を整え迎えたW杯で優勝。なでしこフィーバーを巻き起こした。

 その恩恵を受けながらも、文会長は手綱を緩めなかった。神戸市などとタッグを組み、練習拠点「神戸レディースフットボールセンター」の建設に尽力。12年11月にクラブハウスが隣接する立派な練習場が完成した。ファンが練習を見られるようにスタンドも常設。何か問題点を感じると、なでしこリーグや日本代表などにも、遠慮せずもの申した。すべては女子サッカー界のため。愛情あふれるオーナーだった。

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