鹿島MF藤井智也 J1通算100試合目で行き着いた開き直りの境地「僕はあれでいいかなって」
2024年04月13日 22:20
サッカー
最後の見せ場は後半38分だった。敵陣で縦パスを受けると、右から中央へ斜めにドリブル。体勢を崩しながら左足でシュートまで打ち、CK獲得につなげた。直後にベンチに下がったが、2本連続のCKで押し込み続けたチームは、藤井の交代から1分後に決勝ゴールを奪った。得点者のDF濃野公人に真っ先に駆け寄ったのは、流れを生み出した藤井だった。
3日の福岡戦で今季初めてメンバーから外れた。敵地へ移動前の前日練習終了後。ポポヴィッチ監督から個別に呼ばれた。「サッカー選手として、あなたの価値は少しも出ていない」。ドリブル後のクロスやシュートの精度に目を向けるあまり、本来の積極性が消えていた。「精度を上げるためのボールの置き方とかを考えた結果、いけなくなったことが多かった。でも数を打てば当たるので。どんどんその確率が上がっていけば、より怖い選手になれる」と藤井は言う。冷静に自分を見つめ直すと、開き直ることができた。
「今日もクロスは何回もキャッチされたし、ラインを割ったけど、僕はあれでいいかなって。あのプレースタイルが自分だなって。相手にしつこいと思われるくらい走って、気付いたらプレスバックしているよと。そういう選手になっていこうと、監督と話して気付けた」。プレー時間は今季最長タイの84分間。スプリントは両チーム最多の33回を記録した。「彼の力を最大限に出してくれたゲームだった」。信じて送り出したポポヴィッチ監督も、惜しみない賛辞を贈った。(坂本 寛人)
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