「令和6年能登半島地震」穏やかな新年が一変… 北陸各地で被害甚大「こんな元日になるなんて」
2024年01月03日 05:30
社会
震度6強の揺れから一夜明けた輪島市。7階建てのビルが倒壊し近くにあった建物を押しつぶした。その建物から見つかった人が畳に横たえられ、毛布がかけられた。2人がかりで畳を運ぶ。「誰も助けられなかった」。傍らで男性が叫んだ。
気象庁は1日の地震発生後、能登地方に一時、大津波警報を発表。輪島港では1・2メートル以上の津波を観測した。震源に近い石川県珠洲市では飯田港周辺の海岸から100メートルにわたり浸水し住宅に被害が出た。津波の影響とみられる。市内は橋がひび割れ、多数の家屋が倒壊。午前中に行われた県災害対策本部員会議にリモートで出席した泉谷満寿裕市長は「壊滅的な状況だ。住宅の全壊も1000棟ほど出ているのではという感触がある」と窮状を訴えた。
県内では金沢市など他の自治体でも建物の倒壊や火災が相次ぎ、各地で多数のケガ人が出た。新潟、富山、福井、岐阜などの各県でもケガ人が出た。寒さの中で避難した住民からは「こんな元日になるなんて」と嘆く声が相次いだ。
国内で震度7は2018年の北海道地震以来。大津波警報が発表されたのは11年の東日本大震災以来となる。
被災地では一夜明けても断続的に地震が続き午前には震度5弱も。気象庁は2日の記者会見で「1週間程度、最大震度7程度の地震に注意してほしい」と説明。石川県ではきょう3日にかけて大雨が予想され、土砂災害に警戒が必要となる。
≪建物倒壊相次ぐ 死者50人≫ 石川県によると、死亡したのは、輪島市で10代男性ら19人、珠洲市で20人、七尾市で50代男女や20代女性ら5人、穴水町で2人、羽咋市で70代男性、志賀町で90代男性ほか。住宅やビルの下敷きなどが理由とみられる。輪島市ではビルも倒壊し、生き埋めが14件発生した。他の自治体でも建物の崩壊が相次ぎ、取り残された人がいるとの情報がある。
能登半島の輪島市や珠洲市に向かう道路はひび割れや隆起、陥没が発生し至る所で寸断。国土交通省によると、能登空港の滑走路で深さ約10センチ、長さ10メートル以上のひびが4、5カ所見つかり、滑走路が閉鎖された。空港に通じる道路も通行できず、利用客や地域住民ら約500人が孤立状態となった。
林芳正官房長官は、2日午前11時時点で石川、新潟両県などの避難者は計5万7360人と明らかにした。各地で避難所が開設され多数の住民らが避難した。防衛省によると、自衛隊員約千人が被災地で活動を始めた。