「令和6年能登半島地震」穏やかな新年が一変… 北陸各地で被害甚大「こんな元日になるなんて」

2024年01月03日 05:30

社会

 石川県志賀町で1日午後4時10分ごろ、震度7の地震があり、北海道から九州にかけての広い範囲で揺れを観測した。地震の規模はマグニチュード(M)7・6と推定される。能登地方で観測した地震としては記録が残る1885年以降で最大。気象庁は「令和6年能登半島地震」と命名した。一夜明けた2日午後10時45分現在、石川県で50人が死亡。また、輪島市の観光名所「輪島朝市」周辺では大規模な火災で約200棟が燃え、一帯は焼け野原と化した。
 元日の北陸地方を直撃した最大震度7の大地震。例年なら穏やかな時間が流れていたはずの三が日の街に無数の爪痕が刻まれた。

 震度6強の揺れから一夜明けた輪島市。7階建てのビルが倒壊し近くにあった建物を押しつぶした。その建物から見つかった人が畳に横たえられ、毛布がかけられた。2人がかりで畳を運ぶ。「誰も助けられなかった」。傍らで男性が叫んだ。

 気象庁は1日の地震発生後、能登地方に一時、大津波警報を発表。輪島港では1・2メートル以上の津波を観測した。震源に近い石川県珠洲市では飯田港周辺の海岸から100メートルにわたり浸水し住宅に被害が出た。津波の影響とみられる。市内は橋がひび割れ、多数の家屋が倒壊。午前中に行われた県災害対策本部員会議にリモートで出席した泉谷満寿裕市長は「壊滅的な状況だ。住宅の全壊も1000棟ほど出ているのではという感触がある」と窮状を訴えた。

 県内では金沢市など他の自治体でも建物の倒壊や火災が相次ぎ、各地で多数のケガ人が出た。新潟、富山、福井、岐阜などの各県でもケガ人が出た。寒さの中で避難した住民からは「こんな元日になるなんて」と嘆く声が相次いだ。

 国内で震度7は2018年の北海道地震以来。大津波警報が発表されたのは11年の東日本大震災以来となる。

 被災地では一夜明けても断続的に地震が続き午前には震度5弱も。気象庁は2日の記者会見で「1週間程度、最大震度7程度の地震に注意してほしい」と説明。石川県ではきょう3日にかけて大雨が予想され、土砂災害に警戒が必要となる。


 ≪建物倒壊相次ぐ 死者50人≫ 石川県によると、死亡したのは、輪島市で10代男性ら19人、珠洲市で20人、七尾市で50代男女や20代女性ら5人、穴水町で2人、羽咋市で70代男性、志賀町で90代男性ほか。住宅やビルの下敷きなどが理由とみられる。輪島市ではビルも倒壊し、生き埋めが14件発生した。他の自治体でも建物の崩壊が相次ぎ、取り残された人がいるとの情報がある。

 能登半島の輪島市や珠洲市に向かう道路はひび割れや隆起、陥没が発生し至る所で寸断。国土交通省によると、能登空港の滑走路で深さ約10センチ、長さ10メートル以上のひびが4、5カ所見つかり、滑走路が閉鎖された。空港に通じる道路も通行できず、利用客や地域住民ら約500人が孤立状態となった。

 林芳正官房長官は、2日午前11時時点で石川、新潟両県などの避難者は計5万7360人と明らかにした。各地で避難所が開設され多数の住民らが避難した。防衛省によると、自衛隊員約千人が被災地で活動を始めた。

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