羽田空港着陸後、日航機炎上 衝突の海保機搭乗5人死亡 「能登半島地震」救援物資運搬中
2024年01月03日 05:00
社会
「早く出してください!早く出してください!」。白い煙や熱気が充満する機内に子供の叫び声が響くなど騒然。機体が大きく揺れる中、窓の外が真っ赤な炎に包まれ「扉を開けて」などと悲鳴と怒号が飛び交った。
乗客は脱出シューターを使って命からがら機外へ。窓際に乗っていた都内在住の女性(35)は「窓から火花が見え、かがんで鼻と口をふさぐように指示を受けた。燃えだしてからもなかなか出られず、脱出まで5分以上あったように感じた」と時折声を震わせた。10代の男性は「機内のみんなは冷静さを失っていた」。歯科医師の40代女性は「機内はどんどん熱くなって、助からないかなと思った」と振り返った。
日航によると、乗客乗員全員が機内から脱出し、安全な場所に避難を完了したのが同6時5分。事故発生から18分後だった。搭乗していた乗客は367人で、うち8人は幼児。乗員12人を合わせた計379人は全員脱出し、14人がケガをしたが、命に別条はなかった。
日航機と衝突した海保機も炎上した。日航や海保などによると、海保機は羽田航空基地所属。能登半島地震の対応で新潟航空基地へ物資を搬送する途中だった。宮本元気機長(39)は自力で脱出しており、負傷しているが意識はある。国土交通省航空局と海保が会見し、宮本機長から同5時47分ごろ、管制官に「滑走路上で爆発して自分は脱出した。他の乗員は不明だ」と連絡があったと明らかにした。
海保機は同4時45分ごろ、羽田航空基地からの地上移動を開始し、同5時55分ごろに新潟へ到着する飛行計画だった。被災者向けの水や食料を搭載していた。
羽田空港は一時、4本ある滑走路全てを閉鎖。全日空によると、事故の影響で2日に羽田を発着する計110便以上を欠航した。
国内でこれほど大きな航空機同士の衝突事故は前例がない。国土交通省は航空事故と認定し、運輸安全委員会に通知した。安全委や警視庁などの関係機関が詳しい原因を調べる。