日本原水爆被害者団体協議会にノーベル平和賞 日本の受賞は74年の佐藤栄作元首相以来2例目

2024年10月12日 04:45

社会

日本原水爆被害者団体協議会にノーベル平和賞 日本の受賞は74年の佐藤栄作元首相以来2例目
ノーベル平和賞の受賞が被団協に決まり、喜ぶ広島県被団協の箕牧智之理事長(右端)ら Photo By 共同
 ノルウェーのノーベル賞委員会は11日、2024年のノーベル平和賞を日本全国の被爆者らでつくる日本原水爆被害者団体協議会(被団協、東京)に授与すると発表した。「核兵器のない世界の実現に向けた努力」を評価した。今年で結成68年を迎え、被爆の実相を世界に訴え続け、核廃絶の運動を長年リードしてきた。日本の個人や団体への平和賞は、非核三原則の表明で1974年に受賞した佐藤栄作元首相以来で50年ぶり2例目。
 ノーベル賞委員会は被団協について「核兵器が二度と使用されてはならないことを証言を通じて示した。並外れた努力は核のタブーの確立に大きく貢献した」と称えた。国連や平和会議に代表団を派遣し続け「核軍縮の差し迫った必要性を世界に訴えてきた」と指摘。「肉体的苦しみやつらい記憶を、平和への希望を育むことに生かした全ての被爆者に敬意を表したい」とした。

 今回の授与はロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮の核・ミサイル開発で核の脅威が増す中、核なき世界に向けた機運を高める狙いがある。2017年に非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」にも平和賞を授与しており、核廃絶の運動を改めて後押しした。

 被団協は1956年に結成された。被爆体験の伝承を先導し、後遺症に苦しむ被爆者の救済に取り組んできた。核拡散防止条約(NPT)再検討会議などの国際会議にも代表団を派遣。核の脅威を生き証人として訴える被爆者の言葉は重く受け止められている。
 フリードネス・ノーベル賞委員長は取材に対し「核兵器が80年近く使われていないのは、彼らの貢献のおかげでもある」と述べ、被団協の活動に謝意を示した。

 授賞式は12月10日にオスロで行われ、賞金1100万スウェーデンクローナ(約1億5000万円)が贈られる。

 ▼吉永小百合(原爆詩の朗読を長年続けてきた)映画のロケ地からの帰り道に、平和賞の受賞を知りました。素晴らしいことです!私たちもしっかりと日本被団協をサポートして、核兵器廃絶のために行動しなければと強く思います。

 ▼加藤登紀子(音楽活動を通じて平和を訴えてきた)核のない世界を目指す活動が平和賞を受賞し、心からうれしく思います。もう一度、広島、長崎の悲劇を思い起こすことは、とっても大切な、世界へのメッセージになると思います。広島で被爆し、漫画「はだしのゲン」を描いた中沢啓治さんが残した詩「広島 愛の川」を歌い、核なき世界を訴えてきました。これからも世界から核が廃絶されることを願って歌っていきます。

 ▽日本原水爆被害者団体協議会(被団協) 米国による1954年の太平洋・ビキニ環礁水爆実験をきっかけに、56年8月に長崎市で開かれた第2回原水爆禁止世界大会の中で結成された被爆者の全国組織。「ふたたび被爆者をつくるな」を合言葉に、核兵器廃絶と原爆被害への国家補償を訴えてきた。国内外で証言活動を続け、被爆者の健康問題の相談事業も行っている。高齢化で地方組織が次々と休止、解散。会費や寄付金で活動費を賄ってきたが、財政難に苦しんでいる。

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