被団協ノーベル平和賞受賞から一夜 各国が報道 英BBC「新たな議論」米NYタイムズ「恐怖の生き証人」

2024年10月12日 11:05

社会

被団協ノーベル平和賞受賞から一夜 各国が報道 英BBC「新たな議論」米NYタイムズ「恐怖の生き証人」
日本原水爆被害者団体協議会のノーベル平和賞受賞を伝える英BBC電子版(bbc.com)から
 ノルウェーのノーベル賞委員会は11日、2024年のノーベル平和賞を日本全国の被爆者らでつくる日本原水爆被害者団体協議会(被団協、東京)に授与すると発表。「核兵器のない世界の実現に向けた努力」を評価した。受賞から一夜明け、世界でも大きく報じられた。
 今年で結成68年を迎え、被爆の実相を世界に訴え続け、核廃絶の運動を長年リードしてきた同団体。ノーベル賞委員会からは「核兵器が二度と使用されてはならないことを証言を通じて示した。並外れた努力は核のタブーの確立に大きく貢献した」と称えられた。

 英BBC(電子版)も速報で伝え「核兵器使用についての新たな議論を巻き起こす可能性がある」と報道。現在の世界情勢を踏まえ「ウクライナと中東の戦闘をめぐる核紛争の脅威に世界の注目を集めることになるかもしれない」としている。

 また核兵器を禁止し廃絶するために活動する世界のNGO(非政府組織)の連合体ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)は、公式Xで受賞を祝福した上で「核兵器使用のリスクがかつてないほど高まっている中、核兵器の影響についての体験談を共有するための日本被団協のたゆまぬ努力が認められたことは、核兵器がもたらす極度の危険性をすべての人に改めて認識させるはず」と声明を発表した。

 米大手紙のニューヨークタイムズ(電子版)は「被爆者たちは戦争の恐怖の生き証人であり、その証言を通じて核戦争の影響を広く伝えてきた」とたゆまぬ活動を放送。

 被団協は1956年に結成された。被爆体験の伝承を先導し、後遺症に苦しむ被爆者の救済に取り組んできた。核拡散防止条約(NPT)再検討会議などの国際会議にも代表団を派遣。核の脅威を生き証人として訴える被爆者の言葉は重く受け止められている。

 授賞式は12月10日にオスロで行われ、賞金1100万スウェーデンクローナ(約1億5000万円)が贈られる。

 ▽日本原水爆被害者団体協議会(被団協) 米国による1954年の太平洋・ビキニ環礁水爆実験をきっかけに、56年8月に長崎市で開かれた第2回原水爆禁止世界大会の中で結成された被爆者の全国組織。「ふたたび被爆者をつくるな」を合言葉に、核兵器廃絶と原爆被害への国家補償を訴えてきた。国内外で証言活動を続け、被爆者の健康問題の相談事業も行っている。高齢化で地方組織が次々と休止、解散。会費や寄付金で活動費を賄ってきたが、財政難に苦しんでいる。

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