真央 史上初GP完全制覇!驚きの200点超え 日本人最多12勝目
2013年10月22日 06:00
フィギュアスケート
偉業とともに、五輪シーズン好発進だ。女子フリーが行われ、今季限りでの現役引退を表明している浅田真央(23=中京大)が、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で転倒しながらトップの131・37点をマーク。合計を国際大会自己3番目の204・55点とし、日本最多のGPシリーズ通算12勝目を挙げた。ファイナルを含めたGP全7大会制覇は、男女通じて史上初。夢舞台の頂へ、黄金の進撃が始まった。
天を仰いでフィニッシュした浅田に、3つのサプライズが用意されていた。フェンス越しにファンから差し出されたのは、なんと赤ちゃんだ。「あれは初めて。かわいかった」。頭を優しくなでた後、表示された合計スコアは驚がくの200点超え。「この演技で、これだけもらえるのは満足」。そしてGP7大会完全制覇。「自分のスケート人生においてうれしいことですね」と笑った。
冒頭のトリプルアクセルで転倒し、臀部(でんぶ)付近を強打。「凄い転倒だった」。3―3回転を予定していたジャンプは3―2回転に。後半の3連続ジャンプは2つが回転不足の判定だった。「後半、足にきた。足が普通じゃなかった」。大技の転倒で体力が削られ、終盤は息切れ。表彰式でふらつくほど疲弊していたが、3度のスピンとステップは全て最高難度レベル4を獲得した。
ミスがあっても高得点が出た要因の一端を、佐藤信夫コーチが明かす。「今までは長距離選手の体の使い方。今は短距離に近い使い方ができている。(滑りに)メリハリがある」。淡々と滑ることを許さない、静と動がミックスされた高難度プログラム。メリハリの効いた滑りで、表現力を示す5項目の演技点でも高評価を得た。キム・ヨナ(韓国)に競り負け、銀メダルに終わったバンクーバー五輪と比較して演技点は2・5点アップの69・54点。ジャンプだけではない総合力が200点超えの高得点を支えた。
課題はスタミナだが、今季の浅田の体には強さが備わっている。昨季まで体重を気にしすぎ、佐藤コーチの妻・久美子コーチが「見ていてかわいそうなくらい食べない」と漏らすほど食が細かった。栄養士に送るために食事内容を写真に撮っても、それを完食することがなかったほど。佐藤夫妻に食の大切さを説かれた今季は、きっちり食事を取っている。プログラムを滑りきる体力、長いシーズンを乗り切る体力を体内に蓄えるためだ。
次戦は11月8日開幕のNHK杯(東京)。表彰台に上れば、12月6日開幕のファイナル(福岡)進出が決まる。「この試合を最低レベルとして次の試合、次の試合と階段を上っていければいい。もっともっと、上を目指せると思う」。GP初戦での200点超えも、ソチ五輪シーズンの序章にすぎない。黄金のフィナーレに向かって、浅田が軽やかに前進する。
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