エリマコ王手!4大大会で日本人女子ペア初の決勝進出
2018年06月09日 05:30
テニス
「手が震えかけていて、最後は入ってホッとした」。普段は感情を表に出さない二宮が子供のように跳びはねて喜んだ。穂積も「喜びで胸がいっぱい。試合前は朝から緊張して気持ち悪くなるくらいだった」と声を上げて抱きついた。
中学生だった07年にジュニアの合宿で対面した2人。人見知りな二宮に対する穂積の第一印象は「全然しゃべらない」、同じ94年生まれでも早生まれで1学年上の穂積に対する二宮は「その時から大きくて、大人だなって」。有望選手の多い「94年組」の中でジュニア時代からプロになっても切磋琢磨(せっさたくま)してきた。
4大大会でコンビを組んだのは初めて。しかし、4大大会準決勝で涙をのんだ悔しさを共有していた。準々決勝では第1シードを破るなど、日増しに自信を深めた。第1セットから第3、第5ゲームとブレークして先取。第2セットも第1ゲームで2本のブレークポイントをしのいで流れを手放さなかった。「日本人同士だと組み立てを考えて作戦を立てられる」(穂積)。個々の力では劣っても、1+1を5にも10にもするチームワークでは勝っていた。
ダブルス元世界1位で、現在は穂積のコーチでもある杉山愛さんらが活躍した時代からしばらく低迷し、日本協会もダブルス強化に力を入れてきた。13年にはアンディ・マリー(英国)の兄・ジェイミーらを世界1位に育てた名伯楽、ルイ・カイエ氏を招き、指導者対象のダブルス講習を行った。理詰めの戦術を指導者が学び、各所属や日本代表で選手に落とし込んでいった。
選手自身の縦の糸がしっかり太くなり、それを支える横の糸も加わった。その結果が日本人ペアによる初の4大大会決勝戦。「ここまできたら勝者として終わりたい」(穂積)「最後は笑顔で終わりたい」(二宮)。2人で開く扉は最後にあと1つ残っている。
<東京五輪へ弾み!女子複の強さ復活> 穂積、二宮組の躍進は2020年東京五輪でメダル獲得に向け、大きな弾みがつく好結果となった。1975年のウィンブルドン選手権で沢松和子が日系人のアン清村(米国)と組んで日本女子として4大大会で初制覇を成し遂げ、杉山愛が外国人とのコンビで4大大会を3度制覇した女子ダブルスでかつての強さが戻ってきた。
日本協会の土橋登志久強化本部長は「思った以上に五輪を選手が意識し始めている」と言う。シングルスで優勝すれば条件付きで東京五輪出場権を獲得する今夏のジャカルタ・アジア大会代表に穂積、二宮がともに選ばれた。2人のうちシングルスは穂積が出場する見通しだが、東京五輪を控えて国際総合大会に臨む意義は大きい。日本には穂積と組み昨年の全豪オープンで4強入りした加藤未唯らダブルス巧者が多く、五輪切符を懸けた争いはさらなるレベルアップを引き出しそうだ。
◆穂積 絵莉(ほづみ・えり)1994年(平6)2月17日生まれ、神奈川県平塚市出身の24歳。8歳から茅ケ崎のパームインターナショナルアカデミーで本格的にテニスを始める。15歳から杉山愛さんの母・芙沙子さんに師事し、17歳でプロ転向。今年3月からは杉山さんをコーチに迎える。16年に加藤未唯とのペアでツアー初優勝。17年全豪では同ペアで4強。ランキング最高位は単144位、複29位。1メートル68、60キロ。
◆二宮 真琴(にのみや・まこと)1994年(平6)5月28日生まれ、広島市出身の24歳。6歳からテニスを始め、18歳でプロ転向。16年9月のジャパン女子オープンで青山修子と組んでツアー初優勝。昨年のウィンブルドンではボラコバ(チェコ)と4強入りした。同大会では球団グッズの髪留めを使用したカープ女子。昨年10月にマツダスタジアムで始球式を行った。ランキング最高位は単280位、複35位。1メートル57、53キロ。
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