また日大パワハラ発覚!アメフット部の次はチア部員に暴言連発

2018年08月10日 05:30

チアリーディング

また日大パワハラ発覚!アメフット部の次はチア部員に暴言連発
2018年1月3日のライスボウルで日大フェニックス選手の入場を待つ日大チアリーダー Photo By スポニチ
 アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で揺れた日大で、再び不祥事が発覚した。日大応援リーダー(競技チアリーディング)部に所属する女子部員の母親と代理人弁護士は9日、今年1、2月に同部員が大野美幸監督からパワーハラスメントを受けたことを公表した。母親はアメフット部の内田正人前監督が事務局長を務めていた保健体育審議会(保体審)など大学各所に相談したが、真摯(しんし)な対応をしてもらえず、公表に踏み切ったという。同日、大学は監督の解任を発表したが、ガバナンス(組織統治)欠如が再び顕在化した。

 チアリーディングをテーマに人気女優が主演した映画やドラマが人気を博す中、爽やかなイメージとは真逆の問題が発覚した。“震源地”はアメフット部に新監督が就任し、再スタートを切ったばかりの日大。しかも、5月に発生したアメフット部の問題よりも3カ月も前の事案だった。

 パワハラの被害者となった女子部員の母親と代理人弁護士が報道各社に送信したファクスによれば、事の発端は今年1月22日。大野監督から練習中止の連絡を受け取った同部員が「やったー!オフになった」と反応。その時の様子が監督に伝わり、2月1日に叱責(しっせき)を受けた。

 女子部員はその後、監督や他の部員らに謝罪。一件落着かと思われたが、その後も監督からの叱責は続き、同5日には他の部員の前で「本当、学校の恥だよ」など屈辱的な言葉を掛けられた。翌6日に行われた学年ミーティングでは同期部員からも厳しくなじられ、過呼吸状態に陥ったという。結局、その日を最後に部活に参加できなくなり、他の部員が自宅に押しかけてくることを恐れて1カ月間も家出。今年6月に同部員がまとめた文書で「私は自殺を考えました」とつづるほど精神的に追い込まれた。

 母親は2月15日、保健体育審議会に事実を報告。謝罪に訪れた監督に事実誤認があったことを他の部員に説明し、名誉を回復するよう求めたが、誠実な対応はみられなかった。そればかりか保体審は「やるべきことはやり尽くした」などと問題を放置。その後、同大の人権相談オフィスにも相談したが、なしのつぶてだったという。

 アメフット部問題が発生した直後の5月下旬、日大スポーツ科学部は学部長名で「学生の皆さんを必ず守ります」などと声明を発表。今月3日には田中英寿理事長も「学生ファーストの理念に立ち返って」というタイトルで公式ホームページ上で声明を発表したが、解決すべき事案はまだ隠されていた。日大は問題が公表された9日付で大野監督の解任を発表したが、もはや場当たり的な対応にしか見えない。地に落ちた「日大ブランド」が、再び底なし沼に沈み始めた。

 ◆チアリーディング 応援活動から技を競うものへ進化したスポーツ。競技会では笑顔、完成度、難易度などの細則にわたる採点項目で得点を競う。スタンツ(組み体操)、タンブリング(床上での跳躍・回転)などを取り入れた、アクロバティックな演技が特徴。日大応援リーダー部は02年に創部。愛称は「ディッパーズ」で、過去10年のチアリーディング日本選手権(大学部門)での最高順位は4位。昨年の同大会は15位だった。

 ◆日大保健体育審議会(保体審) 大学キャンパスが学部単位に分かれている日大では、運動部にも各学部所属のものと全学部から学生が集まるものがある。全学部から学生が集まる運動部について統括するのが、保体審と呼ばれる組織。現在、保体審傘下の運動部は34ある。

 【今年1〜3月のパワハラの経過】

 ☆1月22日 降雪で監督から練習中止の連絡。女子部員(Aさん)らは喜ぶ。

 ☆2月1日 監督から「雪で練習がなくなったからと叫ぶ等、部を背負っている人と思えない行動をしている人がいる。特に○学部○年生(学部と学年指定)。心当たりの人は私に直接連絡を」と連絡。

 ☆同日 Aさんと友人がそれぞれ監督に謝罪のLINEを送信。

 ☆2日 練習前に部全体に謝罪。Aさんが謝罪した後、同学年の同期も「すみませんでした」と頭を下げた。

 ☆3日 監督がLINEで「昨日謝ってどうなったの?私に報告はないの?」といった趣旨の内容を送付。先輩や同期から嫌がらせを受けるようになる。

 ☆5日 監督がAさんに「おまえみたいにプライドが高くて過去の栄光にすがりついているやつには自分の罪を認めることも反省することも無理。本当に、学校の恥だよ」「こいつは事務員に“練習がなくなるように監督に電話をかけてほしい”と頼んで練習をなくそうとした」などと発言。

 ☆同日 ケガからの復帰時期の相談も、監督は「お前のこと、ただのバカだと思っていたから力になってあげようと思ったけど、ずる賢いバカは嫌いだから。本当はもうできるんじゃないの?」などと発言。

 ☆6日 学年ミーティングを実施。Aさんは同期から事実と異なる指摘を受け謝罪。途中で過呼吸になったが「どうせ演技でしょ」などと言われる。追い詰められたAさんは家出。

 ☆12日 家族は出身高校の部活顧問らを通じて監督に連絡。対応を求めるも、応答はなし。

 ☆15日 家族が日大保健体育審議会(保体審)に事実報告。

 ☆同日 監督がAさんの自宅に謝罪に訪れる。監督は「感情的になって事実ではないことを部員らの前で話した」と認め「明日訂正し結果を報告する」と約束。

 ☆17日 監督は「“いい演技をすることで帰ってきたいチームをつくろう”という結論を得た」などと家族に報告。

 ☆19日 家族が保体審に2度目の連絡も、監督への口頭での注意以外の対応はなし。

 ☆3月6日 家族は保体審から「やるべきことはやり尽くした」「部のことは監督に一任してある」などと言われる。監督との面談の仲介と場所の提供を依頼も「そんな場所はないし、貸せない」と断られる。学内の人権相談オフィスに相談も進展せず。

おすすめテーマ

2018年08月10日のニュース

特集

スポーツのランキング

【楽天】オススメアイテム