一山、日本新ならず悔し涙V 大会新も1分59秒届かず「ただただ自分の力がなかった」

2021年02月01日 05:30

マラソン

一山、日本新ならず悔し涙V 大会新も1分59秒届かず「ただただ自分の力がなかった」
優勝インタビューで涙ぐむ一山麻緒 Photo By スポニチ
 【大阪国際女子マラソン ( 2021年1月31日    大阪市・長居公園南西口発、ヤンマースタジアム長居着の長居公園周回路=1周2.8キロを15周 )】 新型コロナ対策として無観客の周回コースで行われ、東京五輪代表の一山麻緒(23=ワコール)が大会新記録の2時間21分11秒で初優勝を飾った。04年アテネ五輪金メダルの野口みずきが05年にベルリンでマークした日本記録(2時間19分12秒)更新を狙ったが、昨年末に体調を崩したことや海外高地合宿ができなかったことなどが影響し、25キロ以降に失速した。日本記録更新はならず、まるで敗者のような悔し涙の優勝になった。
 長年停滞していた日本女子マラソン界に風穴をあけようと一山が日本記録に果敢に挑戦したが、目指す山の頂は想像以上に高かった。「(初優勝を)うれしいと思ってゴールはできなかった。日本記録のために練習をやってきたので今は悔しい。ただただ自分の力がなかった」と言って涙をこぼした。

 約1週間前に大阪市内を巡るルートから1周2・8キロのフラットな周回コースに変更された異例のレース。会場となった長居公園は、工事現場で使われる仕切りで外部からコースが目隠しされ、大会関係者以外は無観客。「そんなに寂しいなとは思わなかった。走りに集中できた」と記録更新だけを見据えていた。

 序盤から川内優輝ら、男子選手のペースメーカーが刻む「1キロ3分18秒」の日本記録ペースについていった。ハーフの通過タイムは1時間9分35秒。20秒差以内の日本記録は射程にあった。だが、25キロすぎから「呼吸がきつくなり始めた」と徐々に遅れ始めた。先行する川内から「行ける!」「頑張れ!」などと鼓舞されたが、再びペースを上げることはできなかった。「タイムだけを思って一周一周走っていけた」とフィニッシュ後には川内に何度も感謝を伝えた。

 日本記録更新のためにお膳立てされたレースだったが、一山にとって不運だったのは年末に体調を崩したこと。5日間は全く練習ができず流動食などを取っていたという。約1カ月で何とか仕上げ、永山忠幸監督は「想定外だったが、よくここまで耐え抜いたと思う」と教え子を称えた。

 五輪前に日本記録更新という目標は達成できなかったが、五輪代表を決めた昨年3月の名古屋ウィメンズ前のような海外高地合宿や永山監督が課す強度の高い「鬼メニュー」も未消化と、今夏に向けた伸びしろは十分ある。一山は「日本新のペースは体感できた。最高の準備をして五輪のスタートラインに立ちたい」と気持ちを切り替えた。

 ≪そわそわ→ホッ→複雑≫▼野口みずきさん 日本記録が出るかもとそわそわしていた。今回は更新はされずにちょっとホッとしたり、複雑な思いだった。2時間20分を切る選手が最近はいないので寂しさも感じる。一山、前田は年齢的にもまだこれから。上を目指して頑張ってほしい。

 ▽大会新記録 一山の2時間21分11秒は大会記録。ただし、今回は男女混合レース扱いとなり、野口みずきが03年に出した従来の2時間21分18秒も大会記録として残る。

 ◆一山 麻緒(いちやま・まお)1997年(平9)5月29日生まれ、鹿児島県出水市出身の23歳。小学校から陸上を始め、16年に出水中央高からワコールに入社。初マラソンとなった19年東京で日本人トップの7位入賞。マラソンは21年大阪国際女子で5度目。自己ベストは2時間20分29秒。1メートル57、43キロ。

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