アーチェリー早川漣 「力が抜ける」右肩と 力を抜いて狙う夢「結果残して競技広められたら」
2021年03月17日 05:30
アーチェリー
深刻な症状さえも、普段のほわっとした優しい雰囲気のまま客観的に説明できるところが、「メンタルが8割」と言われる競技で長く活躍できる秘けつかもしれない。0点の大ミスがありながら動揺を抑え、9年ぶり3度目の日本一になった。東京五輪代表選考会は、19年11月の1次も、昨年3月の2次も首位通過。3人が選ばれる20、21日の最終選考会でも本命だ。
右肩のせいで15年に一度、現役を引退している。日本女子初メダルとなる団体の銅を獲得した12年ロンドン五輪でも苦しんだ痛みが悪化。長崎国際大で指導者の道に入った。
しかし、周囲は才能を惜しんだ。1メートル79の長身。重力や風の影響を受けにくい、引くのに力がいる弓を扱うことができた。復帰を望む声が高まり、東京五輪開催も後押しになった。16年6月に「私の居場所はここ」とカムバックを宣言した。
昨年、五輪の1年延期が決まった時にも、体や年齢を考えて引退がよぎった。踏みとどまれたのは、所属先の支援継続が大きいが、国内開催で成し遂げたい夢も支えになった。
「日本はアーチェリーがメジャースポーツじゃない。みんなで盛り上げたいと思っていて、私もそこに協力したい。できるだけ大きな大会で結果を残して、みんなに競技を広められたらいいなって」
世界最強の韓国で生まれ育った。「社会人チームが各県に2つは存在する」というほど盛ん。町にはダーツバーならぬアーチェリーカフェのような店があり、「デートコースに入っていたりする」ほど、国民に親しまれているそうだ。
韓国での実業団選手をやめ、日体大入学のために来日した当初、知名度の低さに驚いた。「アーチェリーって何?って言う人が多かった。弓道?って言われたり」。09年に日本国籍を取得。いつしか「日本には実業団があまりない。そういうところを増やすのが私の目標」と、普及を強く願うようになった。
五輪は、競技を広める絶好の舞台。今、二人三脚で腕を磨く。韓国のトップ選手だった金星辰(キムソンジン)さん(31)と19年8月に結婚。JOCエリートアカデミーで男子コーチを務める夫のアドバイスと、手料理が支えだ。右肩の痛みは平行線だが、ロンドン五輪にはいなかったパートナーの存在が、力の源になっている。
▽アーチェリーの五輪への道 20、21日の最終選考会には、1次、2次を突破した男女各5人が出場し、それぞれ3人が代表になる。各日、70メートル72射の合計点で順位を決め、初日に1人、最終日にさらに1人が脱落するサバイバルマッチ。両日ともにカットライン上で同点になった場合は、1射勝負の「シュートオフ」で決める。五輪会場の夢の島公園アーチェリー会場で行われる。
◆早川 漣(はやかわ・れん)1987年(昭62)8月24日生まれ、韓国全州(チョンジュ)市出身の33歳。小学3年で競技を始める。家庭の事情で先に来日した08年北京五輪代表の姉・浪を追って07年に日本へ。日体大卒業後に長崎県スポーツ専門員として佐世保商高に所属。24歳の12年に出たロンドン五輪は、エースとして団体銅メダル。18年からデンソーソリューションに所属。1メートル79。
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