珍しく感情爆発の高木美帆 挑戦した500メートルで銀! 最強オールラウンダーへまた一歩前進

2022年02月14日 01:03

スピードスケート

珍しく感情爆発の高木美帆 挑戦した500メートルで銀! 最強オールラウンダーへまた一歩前進
<北京五輪 スピードスケート>女子500メートル決勝、銀メダルの高木美帆(撮影・小海途 良幹) Photo By スポニチ
 【北京五輪第10日 スピードスケート女子500メートル ( 2022年2月13日    国家スピードスケート館 )】 今大会5種目にエントリーする高木美帆(27=日体大職)が女子500メートルに出場し、37秒12で銀メダルを獲得した。女子1500メートルに続く今大会2個目の銀。通算5個目のメダルで自身の持つ冬季五輪の日本勢最多記録を更新し、夏季を含めると柔道の谷亮子らの日本女子の最多に並んだ。高地で記録した自己ベストを低地で0秒10上回る会心の滑り。連覇の懸かる女子団体追い抜き、前回銅メダルの女子1000メートルにも弾みをつけた。
 大型スクリーンで記録を確認すると、高木美がガッツポーズを繰り返した。本命種目の1500メートルのレース後はニコリともしなかっただけに、珍しい感情表現。3年前に高地リンクのカナダ・カルガリーで出した自己ベストを0秒10も更新し「自分でもびっくりした。久しぶりに500メートルでいいレースができた。無心で滑りました」と納得の表情を浮かべた。

 15組中4組に登場。会心のレースを終えると、直ぐに15日に準決勝、決勝を控える女子団体追い抜きに頭を切り換えた。エアロバイクでクーリングダウンしながら残りレースを見届け「夜のレースだったので、どうやって通常のリズムに戻そうかと考えていた。メダルの可能性が出てきて後半はソワソワしはじめた」。銀メダルが確定すると、バイクの脇でジャンプして喜んだ。

 5種目への挑戦を自身に課して臨む3度目の大舞台。だが世界記録を持つ1500メートルで敗れた後は、最もメダルに遠いと思われた500メートルの出場に迷いが生じた。日本の2連覇が懸かる団体追い抜きに専念すべきではないか。「パシュートを考えると500メートルに出るか本気で考えた」と悩んだが、最後は挑戦を貫くことを決断。自分自身も予想していなかったメダル獲得につながり「最後まで挑戦して良かった。銀メダルは挑戦した証だと思っている」と笑った。

 オールラウンダーの原点は12年前にある。中学3年で出場したバンクーバー五輪で惨敗。打ちひしがれていると、日本選手団の橋本聖子団長から「(自身が銅メダルを獲得した)1500メートルを滑りきれる選手になってほしい」と後継者に指名され「3000メートルの持久力と500メートルのスピードが必要。全部やったほうがいい」と助言された。88年カルガリー、92年アルベールビルで5種目を滑った大先輩。その背中を追う日々が始まった。帯広南商高時代はシニア、ジュニア、国内外を問わず、日程の許す限り大会に出場。年間で一般的な選手の3倍近い60レースを戦った年もあった。

 新型コロナウイルス検査で陽性検査を示して隔離されていたヨハン・デビット・コーチがこの日から合流。15年から師事する高木美は「ふとした時にかけてくれる言葉がなくなり、しんどいものはあった。あらためて存在の大きさを感じた」と、コーチの復帰から力を得て、この日のレースを迎えていた。残るは連覇の懸かる団体追い抜きと、4年前に銅メダルを獲得した1000メートル。冬季五輪最多となる一大会4個のメダルも射程圏だ。「このメダルの意味を更に上げるためには、あとの2種目が重要になる」。最強オールラウンダーの進撃は続く。

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