【世界陸上】サニブラウン、日本勢初の決勝進出 7位入賞に「こんなところで満足していられない」

2022年07月18日 03:30

陸上

【世界陸上】サニブラウン、日本勢初の決勝進出 7位入賞に「こんなところで満足していられない」
日本人初の100メートル決勝を7位で駆け抜けたサニブラウン(AP) Photo By AP
 【陸上・世界選手権第2日 ( 2022年7月16日    米オレゴン州ユージン )】 男子100メートルが行われ、サニブラウン・ハキーム(23=タンブルウィードTC)が日本勢初の決勝に勝ち進み、10秒06で7位に入賞した。準決勝は10秒05の1組3着でタイムによって勝ち上がり、決勝進出は五輪を含めると、1932年ロサンゼルス五輪6位の吉岡隆徳以来、90年ぶり2人目の快挙となった。悔しさも味わったスプリンターが、2年後のパリ五輪ではメダルを目指す。
 扉を開いたその先に、また新たな扉があった。世界選手権では日本勢初、五輪を含めた世界大会なら90年ぶりとなる男子100メートルのファイナリストとなったサニブラウンは、決勝を終えると力なくトラックに座り込んだ。「普通に“きついな”と。やり切った感じだった」。必死に走り抜き、10秒06の7位。記憶があいまいになるほどの大舞台だった。

 「(レースは)全く覚えていない。独特な緊張感があって、本当に断片でしか覚えていない」

 前日には9秒98をマークして予選通過。この日、最初に挑んだ準決勝では10秒05を出して1組3着となり、タイムによって拾われ、世界最速を決める8人に選ばれた。約1時間50分後に迎えた決勝の舞台。スタートの反応時間が8人中6番目と出遅れた。もう一度、100%を出し切ることはできなかったが、日本勢として歴史的な快挙を成し遂げた。

 ガーナ人の父と日本人の母の元で生まれ育ち、城西高時代から能力は注目されてきた。勉強面においても学年で上位に入るなど優秀だったが、3年になって成績が落ちた。理由は、陸上で米国の大学に留学するため英語を集中的に学び始めたからだった。

 より速くなるため、信念を持って17年秋にフロリダ大へ進学。19年に9秒97という当時の日本記録を出してからはケガなどもあって苦しい時間を過ごしながらも、再び日の当たる場所に帰ってきた。「決勝で走ることができた。海外の大学に行って、プロになって…。自分のやってきたことが正解だと証明できたのかな」。言葉に実感がこもっていた。

 4度目の世界選手権で初めて足を踏み入れた100メートルの決勝。そこで見た景色は、今までと違っていた。

 「(7位は)まずまずという感じだけど、こんなところで満足していられない。(メダルは)近いようで遠いイメージ。すぐ手が届きそうだけど、その何センチかを縮めるためには物凄い練習が必要だし、一日一日、一秒一秒を無駄にせず頑張っていきたい」

 決勝を走り終え、大会マスコットを通じて渡されそうになった日の丸の国旗は受け取らなかった。「メダルを獲っていないんで“受け取ってもなあ”って感じです」。腰に故障を抱えていた昨夏の東京五輪は100メートルでの代表入りを逃した。2年後のパリ五輪へ、新たな挑戦が始まる。

 ◇サニブラウン・ハキーム 1999年(平11)3月6日生まれ、東京都出身の23歳。陸上は小4から始めた。城西大城西中、城西高を経てフロリダ大に進学。15年世界選手権は200メートルに出場。16歳172日で予選を突破し大会最年少記録を更新。17年の世界選手権はウサイン・ボルト(ジャマイカ)が持っていた200メートルの最年少決勝進出記録(18歳355日)も塗り替えた。19年6月には全米大学選手権で当時の日本新記録となる9秒97をマーク。1メートル90、83キロ。

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