【元横綱稀勢の里コラム】大きかったライバル琴奨菊の存在 一門から横綱を出すという思いは一致
2022年10月05日 07:00
相撲
幕内での対戦は63回(稀勢の里の29勝34敗)。大相撲史上最多です。左四つには自信を持っていたので、その形に誘い込まれ餌食になるケースが多かった。下から全身で突き上げてくるがぶり寄りは、一回モードに入ると手がつけられない。場所前からビデオなどで対策も研究しましたし、手の内を知り尽くしていても最後まで嫌な相手でした。
私は足の長さが短所と言われ、下から激しく突き上げてくる琴奨菊の腰の位置が自分の腰の下にくる弱点に悩んでいました。何回やっても解消できない。そんな中で「自分の高さにまで相手を持ち上げてしまえばいいじゃないか」と、自分の足の長さを生かす発想に結びつけられた。結果として成績も安定し、琴奨菊を研究することで相撲の幅も広がりました。彼が力を出してくれなかったら、自分の左四つの完成もなかったと思います。ライバルの存在は大きかったですね。
一門が同じため連合稽古で申し合いできたこともありがたいことでした。ある時、尾車親方(元大関・琴風)が若い衆に「この2人の稽古をよく見ておけ。こんだけ力だすんだぞ」と稽古場で言っていただいた。その言葉がうれしかった。16年初場所で琴奨菊が初優勝。私も一生懸命やってきたつもりですが、あの時の悔しさは忘れられません。ライバルの優勝の瞬間を見たからこそ、横綱に上がれた気がします。
もう土俵上で闘うことはなくなりましたが、弟子を育てる立場になって一門から横綱を出すという思いで一致しています。次のステージでは協会のために力を合わせていきたい。白鵬(現宮城野親方)、豪栄道(現武隈親方)ら同じ時代にしのぎを削った力士らが相次いで部屋を持つようになりました。彼らの弟子と自分の弟子が闘う瞬間も待ち遠しいですね。 (元横綱・稀勢の里)
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