26年前の不祥事を乗り越えて 帝京大・相馬監督「私が戻ってくることが重要かなと」
2023年01月08日 23:11
ラグビー
「本当に素晴らしかった。1年間、4年生は4年間、毎日努力をした結果が表れた」
96年4月、岩出監督の就任と同時に新興勢力だった帝京大に入学。東京高で同期だった元日本代表FWの斉藤祐也と共に明大に進む選択肢も用意されていたが、「早い段階で声を掛けてもらった」と縁を感じて“赤い旋風”で知られる大学の門を叩いた。
当時も今も「体が大きい以外は目立った才能がない」と謙そんするが、今月3日に亡くなった岩出氏前任監督の増村昭策氏の手ほどきを受け、プロップとして急成長。だが翌97年には部内で大学スポーツ界を揺るがす不祥事が発生し、98年度は公式戦出場を辞退。伸び盛りの3年生の1年間を棒に振るところだったが、手を差し伸べてくれたのが社会人ラグビーの三洋電機(パナソニック→現埼玉)で、「当時監督の宮地(克実)さんが、“頑張っている学生が試合をできないのはかわいそう”ということで、3週連続で練習試合をしてくれた。それで関わりができて、お世話になろうと思った」と将来の進路を定めた。
現役時代から時間があれば母校に顔を出して後輩を指導し、岩出前監督の後任と目されるようになった。14年に引退後はパナソニックでFWコーチやヘッドコーチを務め、世界的な名将のロビー・ディーンズ監督の薫陶も受けた。2人の名将の共通点は、60歳を過ぎても「常に勉強し、自分が成長しようとしているところ」。大学では講師として教壇に立ちながら、自身も大学院生としてノートにペンを走らせる。新米監督は、今も学生たちと同じように日々の成長を模索している。
忌々しい26年前の記憶。もちろん相馬監督自身は不祥事と直接の関わりはない。だが同じ楕円球を追っていた仲間の裏切りに、当事者意識を持って「世の中の皆さんにも大学にも、関わる人にも申し訳ない気持ちでいっぱいだったし、とんでもないことをしてしまったという気持ちだった」と振り返る。そんな自分だからこそ、岩出監督の後を継ぐことに意味があるのではないか。
「あの事件を経験した私がここに戻ってくることも、一つ重要かなと思った」
勇気を持って母校に戻った相馬監督が、帝京大ラグビー部に新たな1ページを加えた。
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