【上水研一朗の目】一二三に見えた強い意志 詩は非の打ちどころなし

2023年05月10日 04:38

柔道

【上水研一朗の目】一二三に見えた強い意志 詩は非の打ちどころなし
2年連続4度目の優勝を果たした阿部一二三(AP) Photo By AP
 【柔道世界選手権第2日 ( 2023年5月8日    カタール・ドーハ )】 11度目の直接対決の勝敗を分けたのは、結論から言えば「受け」の部分だった。阿部一は相手の技をそれほど恐れていたように見えず、丸山が内股に入ろうとする場面では、あえて前に出て返してやろうという強い意志すら見えた。一方の丸山は阿部一の技に対して腹ばいになったり崩れて防御に入るなど、過剰に反応していた。もう少し自信を持って立ったまま対応していれば、違う展開になったのではないか。
 阿部一は序盤2試合は硬さも見られたが、準々決勝からはグッとギアを上げ、準決勝の勝ちっぷりも良かった。以前から技の威力は抜群だったが、今は無駄打ちがなく、的確に打って勝つ。東京五輪金メダルに裏打ちされた自信と、勝負どころの見極めが進化の表れだ。

 阿部詩は非の打ちどころがない強さだった。左手の引き手の軸をつくるのが非常に速いため、相手はいつ技が飛んでくるか分からない。準々決勝のブシャール戦では、軸をつくると遠間から一瞬で技に入り、大外刈りで一本を奪った。今大会は襟を持って技に入る進化も見せており、相手はますます技を防ぎようがなくなる。老婆心ながら、あとは1年後の五輪にしっかりピークを合わせてほしい。(東海大体育学部武道学科教授、男子柔道部監督)

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