【玉ノ井親方　視点】波乱の優勝争い　全く分からなくなった　伯桜鵬もチャンスはある

2023年07月20日 19:18

相撲

【玉ノ井親方　視点】波乱の優勝争い　全く分からなくなった　伯桜鵬もチャンスはある — ＜大相撲名古屋場所12日目＞阿炎（右）と激しくぶるかる伯桜鵬（撮影・椎名　航） Photo By スポニチ

【大相撲名古屋場所12日目 ○湘南乃海（小手投げ）錦木●　○北勝富士（押し出し）豊昇龍● （ 2023年7月20日愛知・ドルフィンズアリーナ）】波乱。大関獲りを狙う3関脇がいずれも敗れた上に、トップを走っていた錦木も湘南乃海に苦杯を喫した。

　錦木は相手の左差しを警戒して右にズレるような立ち合いをした。左四つになったが、それでは取りづらいと思ったのか、右上手を巻き替えようとしたところで窮屈な形になってしまった。左下手を小手に振られて我慢し切れずに土俵に転がされた。
　優勝争いの重圧を感じているのか、11日目までのような腰の重さを生かした力強い相撲が影をひそめ、相手に合わせるような取口になって足が出ていなかった。

　プレッシャーで足が出ていなかったのは3関脇も同じ。大栄翔も若元春も気持ちばかりがはやって、足がついていかない感じだった。

　対照的に思い切りの良さが出ていたのが北勝富士だ。前日の黒星で気持ちが吹っ切れたのか、鋭い当たりで前に出る相撲が取れた。豊昇龍が下からあてがって上体を起こそうとしてきたが、しっかり腰をおろして前傾姿勢を崩さなかったのが良かった。

　これで2敗に北勝富士と錦木が並び、3敗で豊昇龍と伯桜鵬が続く展開。残り3日。ここからは体力的にも精神的にも一番きつくなる時期。新入幕の伯桜鵬にもまだ可能性はある。最後に誰が笑うのか全く分からない状況だ。
（元大関・栃東）