【ラグビーレジェンド対談第3回】大八木淳史氏と山口良治氏(3)
2023年10月22日 05:10
ラグビー
対談動画はこちらから】
第3回は「ワルたちを更生させ山口メソッド―― 赤ちゃんのころに戻してあげられたら」(対談映像はYouTube「スポニチチャンネル」で配信中です)
大八木 昭和、平成、令和、ラグビーに付随した教育の考え方もありますが、こういう時代の流れの中で、今の教育、教育現場はどのように見られてますか?
山口 トゥーマッチケアやな。過保護すぎて、子ども一人一人のらしさというのがない。(伏見工業に赴任した時は)本当に学校がめちゃくちゃ荒れていてね。問題児がたくさんいてね。授業が終わって廊下に出たらバイクが走ってきたりね。
大八木 たばこを吸う生徒もいっぱいいましたしね。
山口 3階の窓から椅子がガラスをバーンッと割って落ちてきたりね。そんな生徒も多かったんだけどね。子どもはみんな赤ちゃんの時があった。赤ちゃんの時は「このガキはぁ」ってことはないでしょ。みんなかわいい、かわいいで育てられてきた。どの子も、そんな時代があったのに、何があったか知らんけど、何でこんなことをする子になったのかと思って、それが知りたかったから毎日家庭訪問して。そりゃ、親を見たらいっぺんに分かる。親をどついたろかと思ったけど、親はどつけんから、子どもを親の前でどついてね。悪かった子も立派に社会人になってくれた。
昔、伏見工業って悪い、問題の多い子が多かった。こんなことを言ってはあかんけど、当時いた先生たちは(生徒を)1回、注意しても、2回、3回はしなかった。「私はちゃんと注意しましたよ」と言うんですよね。だから、あんな学校になってしまった。
大八木 伏見工業には何で赴任することになったのですか?
山口 岡崎中学、陶化中学(現凌風中学)、皆山中学(下京中学に統合)とか当時、荒れていた中学に生徒指導員で派遣されました。私はすぐに仲良くなるんですよ。そうしたら山口を伏見に行かせということになったんですよ。
そこで問題児たちにいっぱい出会うんですよ。
なんで、こいつら、こんな悪いことばかりするのかなと思った。みんなかわいい赤ちゃんやのに、どんな育て方を親がしているのかと家庭訪問した。
そうしたら納得やな。赤ちゃんは小さいとき、みんなかわいいやんか。どんな問題児も原点はかわいい赤ちゃん。いったい何があったんかな?と。
家庭訪問したら、普通先生の家庭訪問といったら、軒先でね。オレは行っては家に上がって酒を飲んだりとかね。そんなことをしてると(学校で)問題になって大変やった。
大八木 有名な話ありますよね。ラグビー部を試合に連れて行くときに、集合する駅に誰も来なかった話、ありますよね。
山口 浪商やな。久保正道先生が浪商に連れてこいと。全員の切符を買って京阪の伏見稲荷駅で待っていた。誰も来なかった。そして切符を返して、一人で浪商に謝りに行った。学校の前の居酒屋で久保先生が励ましてくれてね。
大八木 試合をできるようになったのは、いつくらいなんですか?
山口 最初の頃は怖がって更衣室から出てこない。でも、本当にいろいろな人のおかげで。でも、今教育って、本当にいろいろなことを言われているけど、原点はかわいい赤ちゃんやった。そこまで戻してやったら、なおしていけると思う。
今でもいろいろな問題を起こしている若い子のニュースが出ているけど。それを見るに付け、こんな子に、そんな気持ちにさせてやれば直るのになと思う。
もう関係ないけど。いつもそう思う。教育力って、知識の教育だけじゃなくって、やっぱりその気にさせる。どんな子でも、赤ちゃんの時期があったんやから、そこまで戻してあげたら気がつくことはいっぱいあると思う。
(続く)
◇山口 良治(やまぐち・よしはる)1943年(昭18)2月15日、福井県三方生まれの80歳。若狭農林高(現若狭東)から日大、日体大(編入)。1974年に伏見工(現京都工学院)に赴任。翌75年にラグビー部監督に就任し、1980年、92年と2度の日本一に導いた。現役時代のポジションはフランカー。キッカーとしても活躍。日本代表キャップは13。
◇大八木 淳史(おおやぎ・あつし)1961年(昭36)8月15日、京都市生まれの62歳。伏見工からラグビーを始め、同志社大―神戸製鋼。同志社大時代は大学選手権3連覇、神戸製鋼時代は日本選手権7連覇に貢献。現役時代のポジションはロック。日本代表キャップ30。
元ラグビー日本代表の大八木淳史氏(62)がゲストを招いてトークする「レジェンド対談」がスタートします。第一弾は大八木氏の恩師で、日本代表フランカーとしても活躍した元伏見工業高校監督の山口良治氏(80)です。あの伝説のテレビドラマ「スクール☆ウォーズ」の主人公、滝沢賢治のモデルにもなった“泣き虫先生”が、教え子の“暴れん坊”と語り合った。 【大八木 昭和、平成、令和、ラグビーに付随した教育の考え方もありますが、こういう時代の流れの中で、今の教育、教育現場はどのように見られてますか?
山口 トゥーマッチケアやな。過保護すぎて、子ども一人一人のらしさというのがない。(伏見工業に赴任した時は)本当に学校がめちゃくちゃ荒れていてね。問題児がたくさんいてね。授業が終わって廊下に出たらバイクが走ってきたりね。
大八木 たばこを吸う生徒もいっぱいいましたしね。
山口 3階の窓から椅子がガラスをバーンッと割って落ちてきたりね。そんな生徒も多かったんだけどね。子どもはみんな赤ちゃんの時があった。赤ちゃんの時は「このガキはぁ」ってことはないでしょ。みんなかわいい、かわいいで育てられてきた。どの子も、そんな時代があったのに、何があったか知らんけど、何でこんなことをする子になったのかと思って、それが知りたかったから毎日家庭訪問して。そりゃ、親を見たらいっぺんに分かる。親をどついたろかと思ったけど、親はどつけんから、子どもを親の前でどついてね。悪かった子も立派に社会人になってくれた。
昔、伏見工業って悪い、問題の多い子が多かった。こんなことを言ってはあかんけど、当時いた先生たちは(生徒を)1回、注意しても、2回、3回はしなかった。「私はちゃんと注意しましたよ」と言うんですよね。だから、あんな学校になってしまった。
大八木 伏見工業には何で赴任することになったのですか?
山口 岡崎中学、陶化中学(現凌風中学)、皆山中学(下京中学に統合)とか当時、荒れていた中学に生徒指導員で派遣されました。私はすぐに仲良くなるんですよ。そうしたら山口を伏見に行かせということになったんですよ。
そこで問題児たちにいっぱい出会うんですよ。
なんで、こいつら、こんな悪いことばかりするのかなと思った。みんなかわいい赤ちゃんやのに、どんな育て方を親がしているのかと家庭訪問した。
そうしたら納得やな。赤ちゃんは小さいとき、みんなかわいいやんか。どんな問題児も原点はかわいい赤ちゃん。いったい何があったんかな?と。
家庭訪問したら、普通先生の家庭訪問といったら、軒先でね。オレは行っては家に上がって酒を飲んだりとかね。そんなことをしてると(学校で)問題になって大変やった。
大八木 有名な話ありますよね。ラグビー部を試合に連れて行くときに、集合する駅に誰も来なかった話、ありますよね。
山口 浪商やな。久保正道先生が浪商に連れてこいと。全員の切符を買って京阪の伏見稲荷駅で待っていた。誰も来なかった。そして切符を返して、一人で浪商に謝りに行った。学校の前の居酒屋で久保先生が励ましてくれてね。
大八木 試合をできるようになったのは、いつくらいなんですか?
山口 最初の頃は怖がって更衣室から出てこない。でも、本当にいろいろな人のおかげで。でも、今教育って、本当にいろいろなことを言われているけど、原点はかわいい赤ちゃんやった。そこまで戻してやったら、なおしていけると思う。
今でもいろいろな問題を起こしている若い子のニュースが出ているけど。それを見るに付け、こんな子に、そんな気持ちにさせてやれば直るのになと思う。
もう関係ないけど。いつもそう思う。教育力って、知識の教育だけじゃなくって、やっぱりその気にさせる。どんな子でも、赤ちゃんの時期があったんやから、そこまで戻してあげたら気がつくことはいっぱいあると思う。
(続く)
◇山口 良治(やまぐち・よしはる)1943年(昭18)2月15日、福井県三方生まれの80歳。若狭農林高(現若狭東)から日大、日体大(編入)。1974年に伏見工(現京都工学院)に赴任。翌75年にラグビー部監督に就任し、1980年、92年と2度の日本一に導いた。現役時代のポジションはフランカー。キッカーとしても活躍。日本代表キャップは13。
◇大八木 淳史(おおやぎ・あつし)1961年(昭36)8月15日、京都市生まれの62歳。伏見工からラグビーを始め、同志社大―神戸製鋼。同志社大時代は大学選手権3連覇、神戸製鋼時代は日本選手権7連覇に貢献。現役時代のポジションはロック。日本代表キャップ30。
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