アメフト関学大 7年かけて到達した甲子園 大病乗り越えたRB大槻が歴史作るTD狙う

2023年12月14日 16:42

アメフト

アメフト関学大 7年かけて到達した甲子園 大病乗り越えたRB大槻が歴史作るTD狙う
公開練習で甲子園の感触を確かめる関学大RB大槻(撮影・中辻 颯太) Photo By スポニチ
 学生アメリカンフットボールの日本一を決める「第78回甲子園ボウル」で法大(関東代表)と対戦する関学大(関西代表)が14日、決戦の地で公開練習。史上初の6連覇へ、フィニッシャーとしての役割を期待されるRB大槻直人(4年)が目尻を思いっきり下げた。
 「最高っすね。やっぱり最高です」

 視界が360度広がるフィールドも、足元から伝わる芝生の感触も、感激が大きすぎて、言い表すフレーズが見当たらない。夢にまで見た聖地。一瞬を惜しむように、背番号90は駆け回っていた。

 高校球児を輝かせる舞台として、憧れを抱いた甲子園。小2から野球を始め、京都共栄学園で「3番・左翼」のレギュラーをつかむも、3年夏は府大会ベスト4で敗れた。卒業後の進路を決める時、決定打になったのが恩師、神前俊彦監督の一言だった。「まだ冬の甲子園があるぞ」。そのとき初めて、アメフトと、日本最古のボウルゲームの存在を知った。

 日本一の名門に入り、与えられた役割はLB。ディフェンスの中核を担うポジションは、最も選手層が厚く、求められるものも多い。未経験者の大槻が悪戦苦闘していた3年の秋、めまいや動悸など体の不調を感じ、診察を受けたところ、甲状腺ホルモンを過剰に産生する「バセドウ病」と診断された。1000人に1人が罹患する難病。「放射線治療」か「手術」の2択を迫られた大槻は、競技を続けられる手術を選択し、再びフィールドに帰ってきた。

 「今は(甲子園でプレーできる)ワクワクした気持ちで一杯。自分が任せられるプレーはショートヤード。TDを取り切ることを目標にやります」

 フィジカルの強さと突破力を買われ、今年6月にRBへ転向。特にエンドゾーンまで短い距離を残し、どうしてもTDが欲しい局面を任されてきた。京大戦(10月28日)でファンブルした後は、再び同じ失敗をしないようにボールを片時も離さず生活する真っすぐな男。立命大戦(11月11日)のTDは、陰の努力が報われた。

 「大槻はメチャクチャいい子。素直で、スレていない。(相手が)分かっていても、短い距離を取らないとダメ」

 大村和輝監督の信頼も厚い。白球を追っていた高1から数え、7年かけてたどり着いた夢舞台。「突貫小僧」の一撃が、オレンジを粉砕する。

おすすめテーマ

2023年12月14日のニュース

特集

スポーツのランキング

【楽天】オススメアイテム