ラグビー代表次期HC決定 結論ありきの「出来レース」 「協会ファースト」で一致団結できるのか

2023年12月14日 05:00

ラグビー

ラグビー代表次期HC決定 結論ありきの「出来レース」 「協会ファースト」で一致団結できるのか
次期ヘッドコーチの最有力候補にジョーンズ氏が浮上していることを報じた7月1日付のスポニチ本紙最終版 Photo By スポニチ
 【記者の目】今回の新ヘッドコーチ選考を振り返ると、結論ありきだったと言わざるを得ない。
 昨夏に27年W杯までの続投意欲を伝えたジョセフ前HCが退任を決断したのは、今春にエディー・ジョーンズ氏の復帰を画策する動きを察知したことが引き金となっている。それでも協会は外部機関に選考業務の一部を委託するなど、あくまで公平で透明性ある選考が行われたように取り繕った。ジョーンズ氏らの最終面接が行われたのは今月7日。一方で11月までに今も隠然たる影響力を持つ森喜朗元会長にお伺いを立て、サントリー側が報酬の一部負担で合意したとの話も漏れ伝わり、明らかに整合性を欠く。

 以前と比べ、代表活動期間は格段に短くなった。現場指導だけでの強化には限界があり、各チームや選手との連携は不可欠だ。だが極めて不透明なプロセスで誕生した指揮官と、これを推進した土田会長をトップとする協会の下で、果たして一致団結できるのか。

 今やラグビー界も、優秀なコーチは世界で獲得合戦が繰り広げられている。日本を強くできる指導者を獲りにいくことは否定しないが、公平性と透明性を掲げた以上、順守するのが筋だろう。最終的に対抗馬となったフラン・ルディケ氏がヘッドコーチを務める東京ベイの関係者は、「シーズンが始まっても決まっていないのは、明らかに協会ファースト」と批判する。他チームの関係者も「出来レースではないか」との声を上げる中、協力を取り付けるのは困難だろう。

 ジョーンズ氏は母国を指揮した今秋のW杯で史上初の1次リーグ敗退。指導手腕の衰えを懸念する声を聞くが、その点に関する不安は大きくない。育成年代を含む日本と世界のラグビーに精通し、アイデアは豊富で世界とのつながりもある。今の日本に即した強化策で、強さを取り戻すプランはすでに練り上げられているだろう。だからこそ、禍根を残す今回の一件が残念でならない。(スポニチラグビー担当・阿部 令)

おすすめテーマ

2023年12月14日のニュース

特集

スポーツのランキング

【楽天】オススメアイテム