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“石川の星”大の里 被災地照らす幕内最初の土俵で白星「頑張っている姿を見せることが一番」

2024年01月15日 04:45

相撲

“石川の星”大の里 被災地照らす幕内最初の土俵で白星「頑張っている姿を見せることが一番」
武将山(右)をはたき込みで下す大の里(撮影・久冨木 修) Photo By スポニチ
 【大相撲初場所 初日 ( 2024年1月14日    両国国技館 )】 新入幕の大の里(23=二所ノ関部屋)が武将山(28=藤島部屋)をはたき込みで破って幕内最初の土俵を白星で飾った。初土俵から所要4場所で幕内まで駆け上がってきた逸材は石川県津幡町の出身。今月1日に最大震度7を観測した能登半島地震で被害を受けた故郷へ、白星を届けた。3場所ぶりに出場した横綱・照ノ富士(32=伊勢ケ浜部屋)は新小結・宇良(31=木瀬部屋)を押し出して名古屋場所初日以来189日ぶりの白星を挙げた。
 注目の大器が、角界の頂点を目指す新たな一歩を踏み出した。大の里は立ち合い胸から激しく当たると、右が差せないとみて少し後ろへ下がってはたき込み。満足いく内容ではなかったが「あまり集中できていなかった。反省点は多いけど、勝ちをもぎ取ったので切り替えたい」と安堵(あんど)感をにじませた。

 2年連続アマチュア横綱などの輝かしい実績を引っ提げて昨年夏場所で初土俵。昭和以降3位タイとなる所要4場所で新入幕というスピード出世を果たした。元横綱・稀勢の里の二所ノ関親方が育てた幕内第1号。師匠から「横綱や大関になる逸材」と大きな期待をかけられており、場所前の稽古では元大関の朝乃山を圧倒するなど“怪物”ぶりを発揮していた。

 石川県津幡町の出身。故郷は今月1日に発生した能登半島地震で被災した。家族は無事だったが、電気や水道が止まって避難所生活を強いられたという。ざんばら髪のホープは「石川県に明るい話題を届けたい。自分が頑張っている姿を見せることが一番」と特別な思いを持って今場所に臨んだ。

 石川県は日本有数の相撲が盛んな地域。応援の熱も高く、金沢駅には、県出身の幕内経験者3人(遠藤、輝、炎鵬)の等身大パネルが並んでいる。大の里は入門前から何度も見ており「自分も早くそこに並びたい」と夢を描いていた。幕内昇進を機にそれが実現し、昨年末に帰省した際には“対面”も果たした。

 愛する故郷が甚大な被害を受け、沈痛な思いを持ちながら始まった新入幕場所。「石川県津幡町出身」とアナウンスされると満員の館内から大きな拍手が起きた。「見てくれている人がいると思って、元気を与えられたら」。角界の将来を担うスター候補の23歳が、地元を照らす光となる。(前川 晋作)

 ≪出身7人に大きな拍手≫能登半島地震で大きな被害を受けた石川県出身力士10人のうち7人が初日の土俵に上がった。「石川県出身」と紹介されると館内からは大きな拍手。七尾市出身の十両・輝は「良い相撲を取って地元の人たちに少しでも元気が出たらという思いです」と話した。穴水町出身の幕内・遠藤は、地元の伝統的なボラ漁に使うやぐらをあしらった化粧まわしで土俵入り。「元気を届けられるように頑張る」と決意を口にした。

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