ホンマに困っている人を助けられへんのは、「政治家」やなくて「政治屋」や

2024年02月28日 17:50

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ホンマに困っている人を助けられへんのは、「政治家」やなくて「政治屋」や
鳥内秀晃氏 Photo By スポニチ
 【名将・鳥内秀晃の人間話 頼むでホンマ】能登半島地震から間もなく2カ月やな。現地の映像とか見てると、復旧が遅々として進んでへんし、政府は何してんのかな、と思うわ。
 もともと、この地域って、道路などのインフラが十分やないから、道が寸断されたら、物資とかも行き届かへん。それやったら、船で運ぶとか、いろいろ手はあるやん。これだけの被害が出てるのに、一体だれがリーダーシップを取って、復興に向けた活動をやってんのかな。頭使ったり、工夫せんかったら、時間ばっかり過ぎてまうで。

 被災地の一つ、珠洲市は、もともと原発を建設する予定が住民の反対でなくなった場所なんやて。2月26日にも、伊予原発のある愛媛で震度4を観測する地震が起きたし、これは日本の原発政策に対する「警鐘」なんちゃうかな。

 日本って、自然災害の多い国やん。全国どこでも大きな被害を受ける可能性があるのに、いつも何か起きてから国は慌てるやろ。準備がしっかりできてへんうえに、復興へのスピード感もないわな。2011年の東日本大震災の被災者かて、まだ以前の生活に戻れてへん人が一杯いてんねんで。そういうこと、政府は分かってるんかな。

 報道では、日経平均株価が過去最高になったとか言うてるけど、国内にはホンマに困っている人が一杯いてるわ。1月にトラック協会へ講演に行った時、運送業界の実情を聞いたら、「働き方改革」のあおりを受けて大変らしいわ。人手がいてへんのに残業したらあかんとか、国は現状をちゃんと把握してんのかな。訪問介護で働いている人の報酬を引き下げるニュースも見たけど、そういうエッセンシャルワーカー(生活必須職従事者)の待遇について、どう思ってるんやろ。特定の企業や業種にだけ補助してもあかんねん。

 日本中で苦しんでいる人を横目に、この国は海外へ相変わらず大金をバラまいてるわな。もちろん、あちこちで戦争や紛争はあるし、世界中の貧しい人を助けるのも大事やわ。けど、ええ格好ばっかりせんと、今は「日本の被災地にお金を使うから、勘弁して」と言うべきちゃうの。お年寄りでも、ホンマに少ない年金でやりくりしてる人があちこちにいてはるわ。高度成長期の日本を支えてくれた人たちの姿を国会議員はどう思ってるんやろ。日本国民を救わんと、自分の私利私欲ばっかり追い求めたり、脱税みたいなことやっているのは、「政治家」やなくて単なる「政治屋」や。

 やっぱりな、今の時代って、多様性が当たり前やん。それやのに、未だに日本の教育って、一つの答えを導き出す入試をやって、偏差値で序列を決めて、その中でいい大学に入った人間が政治家、官僚になってんねん。けど、有事の対応とか、答えは一つちゃうやん。局面で局面で一番ええ答えを出していかなあかんのに、そんな「硬直マインドセット」では、どうにもならんわ。資源のない国やからこそ、いい人材を生み出す教育をもっと大事にしてほしいな。頼むで、ホンマ。
(関西学院大アメリカンフットボール部前監督)

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