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現代人の多くが抱える、睡眠の質が低下する「大きな原因」とは?睡眠栄養指導士が解説

2024年08月19日 09:00

現代人の多くが抱える、睡眠の質が低下する「大きな原因」とは?睡眠栄養指導士が解説
平年以上とも言われている今年の猛暑。寝苦しくて良質な睡眠がとれず、日中のパフォーマンスも落ちてしまうという方も多いのでは…

平年以上とも言われている今年の猛暑。寝苦しくて良質な睡眠がとれず、日中のパフォーマンスも落ちてしまうという方も多いのではないでしょうか。身体を十分に休める良質な睡眠をとるための対策を、一般社団法人睡眠栄養指導士協会代表理事で睡眠栄養指導士である河野記代子さんに伺います。

睡眠の質が落ちる大きな原因のひとつ「副腎疲労」

現代社会において睡眠の質を妨げる要因の一つとして、副腎疲労が挙げられます。

副腎は腎臓の上に位置する、親指の第1関節くらいの小さいながらも50種類程の重要なホルモンを分泌する臓器です。

副腎は、ストレスを受けると、それに対応するため抗ストレスホルモン「コルチゾール」を過剰に分泌し続け、疲弊してしまうことがあります。副腎疲労によってコルチゾールの分泌が乱れることも、睡眠障害につながります。

コルチゾールは通常夜中には分泌されないようになっていますが、現代の社会のストレスや不規則な生活による自律神経の乱れが原因で、寝入りや睡眠の真っただ中にもコルチゾールが分泌されてしまうことも。

そのせいで、脳や体が十分に休まらない、質の悪い睡眠につながります。睡眠の質を向上させるためには、ストレスを管理し、副腎の負担を軽減することが大切です。

副腎疲労は不調の原因としてポピュラー

アメリカなどでは、ちょっとした体調不良や病気も副腎疲労の症状として疑うほどに副腎疲労への理解が進んでいますが、日本ではまだ認識が広まっていません。

現代のストレス過多な状況下では、ほとんどの人が副腎疲労を起こしているのではないでしょうか。猛暑による不快感など、日々僅かであってもストレス要因になっていると思われます。

次:副腎疲労がある人の特徴

副腎疲労がある人は腸内環境も悪いことが多い?

副腎が疲れている人は腸も疲れており、それが睡眠の質に影響を及ぼしている可能性があります。

睡眠に欠かせない“睡眠ホルモン”「メラトニン」の材料となるホルモン「セロトニン」の8~9割は腸で作られていると言われます。そのため、腸内環境を整えることは、睡眠の質向上のためにも重要です。

トリプトファンを生み出す食べ物を意識する

睡眠ホルモンであるメラトニンを安定的に作るには、トリプトファンを含む食品を積極的に摂取することがおすすめです。

●トリプトファンを豊富に含む食品の例

  • 乳製品:牛乳、ヨーグルト、チーズなど
  • 肉類:鶏肉、豚肉など
  • 魚介類:サーモン、マグロ、えびなど
  • 豆類:大豆、納豆、豆腐など
  • ナッツ類:アーモンド、カシューナッツ、ピーナッツ、ひまわりの種など
  • 穀物:玄米、オートミール、大麦など
  • ほか:ユーグレナなど

トリプトファンは1日に500mg摂取することが推奨されています。また、トリプトファンは摂取してから14~16時間後にメラトニンに変わるので、朝食にしっかり摂るとよいですね。

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ほか、睡眠の質向上で意識したい栄養素

  • ビタミンB6・・・トリプトファンをセロトニンに変換する
  • ビタミンC・・・セロトニン生成に必要。体内の活性酸素を取り除くことでストレス軽減
  • ビタミンDや亜鉛・・・セロトニンをメラトニンに変換されるのに役立つ
  • マグネシウム・・・神経の興奮を抑える

そのほか、ホルモンも細胞なので、もちろん細胞自体を作ってくれるたんぱく質も重要ですし、腸内環境を整える食物繊維や乳酸菌も必須です。

ただし、特定の栄養素ばかりを摂るのではなく、各栄養素は相互補完しながら働くので、微量栄養素をまんべんなく摂取するという意識が必要です。

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監修者プロフィール

河野記代子

一般社団法人睡眠栄養指導士協会代表理事。1979年3月生まれ。専門学校を卒業後、渡豪し3年を過ごしたのちエステティックサロン開業。その後も東京都内に鍼灸院、整体院をオープン。38歳の時に関節炎がひどくなり、ミドルエイジからも健康に生活するためのコンディションづくりへの意識がますます高まり、睡眠栄養指導士の資格を取得。睡眠の質向上には脳と腸への深い理解が必須と実感し、睡眠、脳、腸、遺伝子に関して学べる資格習得スクールを開校。睡眠栄養指導士協会にて講師として従事し、2022年10月より睡眠栄養指導士協会 代表理事に就任。

<Edit:編集部>

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