スポキャリ
【スポニチ×スポキャリインタビューvol.12】 吉川博敏さん(神戸国際大学硬式野球部監督)
2021年06月01日 12:00
スポーツ
[聞き手]岡泰秀(株)スポキャリ取締役会長。昭和50年(1975年)生まれ。京都成章高-大阪体育大。99年4月(株)大阪近鉄バファローズに入社。監督付き広報、2軍チームマネジャーほか、球団社長室に所属し、肖像権委員会、広報業務などに携わる。近鉄球団の整理を担当しながら、オリックスバファローズや東北楽天イーグルスの設立に携わり退社。09年にスポーツマネジメント会社「スポーツカンパニー」設立。上原浩治(元巨人)、建山義紀(元日本ハム)らの日本側の代理人を務め、清水直行(元ロッテ)らの事業コンサルを務めた。04年よりプロスポーツ昭和50年会を立ち上げ、幹事長を務める。05年より大阪体育大学硬式野球部の助監督を務めた(~17年)。16年からは阪神大学野球連盟の常任理事。
―野球部での経験を社会に出るために、どう生かすべきでしょうか。
「基本的に大学生にとって4年間は、社会人になるための勉強、トレーニングをしていく時間だと思います。その中で野球に取り組んで、技能が上達するにこしたことはないけど、野球バカであってはダメ。社会で通用する人間に成長するためにも、まずは普通のことが普通にできる人間であってほしいと指導をしています」
―普通とはどのようなことですか。
「時間とかあいさつとか、上下関係の中で目上の人に敬意を払う姿勢ですかね。時間もその時間通りではなく、動くための準備の時間も考えて、行動することが必要。練習や仕事も、ギリギリに来て、いい動きが出来るわけがない。そういったことも含めて、日本のタテ社会の中でしっかりと行動する習慣をスポーツを通して身につけたら、社会に出たときに一歩リードできることにつながると思います。スポーツに打ち込んだ学生に、企業もそこを期待しているんです」
―日常の心がけが就活でも大事ということですか。
「誰でも失敗はするはず。失敗したときに、素直にすいませんでした、と言える人間が社会には入っていける。野球がうまくなくても、そういう学生は社会でいい戦力になれる。例えば、用事が出来て練習を休んだときに『おかげさまで休ませていただいて、用事をちゃんと済ますことが出来ました』と事後報告が出来るかどうか。出来ない学生ほど、苦労している印象があります。目上の人に、人の気持ちを分かった上で行動していると感じさせたら、チャンスに恵まれるはずです」
―やりたい仕事をどうして見つけるか。多くの学生が悩んでいると思うが。
「野球に限らず、スポーツに取り組む学生は、常に目標を持って練習しているはず。レギュラーになりたい、相手に勝ちたい、と思って4年間やっている。同じことだと思います。社長になりたい、プロになりたい。何でもいいし、大きすぎる夢でもいいから目標を持つことで、いつかはこうなりたいというのが出てくる。何となく4年間やってきましたというのが一番良くないですね。失敗してもいいし、後で方向転換してもいいから、学生時代に目標を持つこと。学生時代だからこそ失敗も許される。いろんな会社で話を聞いて、OBや先輩にもアドバイスを受ける。回数を重ねれば、自分の道は見えてくるはずです」
◆就活のためのキーワード
1、試合や練習で自分本位になっていないか。ベンチでの振る舞いをもう一度見つめ直してみよう
2、野球がうまければいい、ではダメ。時間やあいさつなど基本的なことをしっかりする習慣をつけよう
3、失敗したときに、素直に「すいません」と言えるスポーツマンであることが大事