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【スポニチ×スポキャリインタビューvol.21】高橋朋玄さん(ENEOS野球部マネジャー)

2022年12月08日 21:15

スポーツ

【スポニチ×スポキャリインタビューvol.21】高橋朋玄さん(ENEOS野球部マネジャー)
高橋朋玄さん(左)に学生へのアドバイスを聞く岡泰秀スポキャリ取締役会長 Photo By スポニチ
 学生のこと、就活のこと――高橋朋玄さん(ENEOS野球部マネジャー・広報部企業スポーツグループ)にきいてみた。
 2022年の都市対抗で優勝したENEOSの野球部マネジャーを務める高橋朋玄さん(26)は、広報部の企業スポーツグループに所属。マネジャーとしてチームの運営をスムーズに進めることを仕事にしている。

 福島県いわき市出身。磐城高から早大に進学。内野手として野球部に入部し、神宮での活躍を目指していた。

 大学2年で転機が訪れた。学年から1人選出しなければならないマネジャーとして高橋さんの名前が挙がった。「選手としてやりたかったけど、力があれば名前は出ない。現実を突きつけられて、切り替えるには時間がかかりました」。同級生や先輩など多くの人の話を聞いた。200人近い早大野球部の大所帯を維持するためには、誰かがサポート役に回らないといけない。悩んだ末に決断した。

 「自分のためじゃなく、人のために野球をやってみよう。そう思うのに半年かかったけど、決めてからは迷わなくなった。選手がいい表情で野球ができる環境を作ること。それが自分の役目だと打ち込みました」

 部員への連絡に始まり、連盟やOBとの関係構築など多岐にわたる業務に集中し、4年次の2018年には野球部ブラジル遠征を成功に導いた。その手腕が評価され、ENEOSから声がかかったが、企業スポーツの世界は、大学時代とはまた違っていた。

「学生時代は大人の人に守られて、作られたレールに乗っていけば良かった。受け身でしたね。企業に入ると、自分から動かないといけない。言われたことだけやっていては、チームのためにもならない。それは実感しました」

マネジャーという肩書は一緒でも、学生時代と社会人では、やるべきことが変わる。意識も変えないといけない。緊張する日々だ。

 [聞き手]岡 泰秀(株)スポキャリ取締役会長。
 昭和50年(1975年)生まれ。京都成章高―大阪体育大。
 99年4月(株)大阪近鉄バファローズに入社。監督付広報、2軍チームマネジャーほか、球団社長室に所属し、肖像権委員会、広報業務などに携わる。
近鉄球団の整理を担当しながら、オリックスバファローズや東北楽天イーグルスの設立に携わり退社。
 09年にスポーツマネジメント会社「スポーツカンパニー」設立。上原浩治(元巨人)、建山義紀(元日本ハム)らの日本側の代理人を務め、清水直行(元ロッテ)らの事業コンサルを務めた。
 04年よりプロスポーツ昭和50年会を立ち上げ、幹事長を務める。05年より大阪体育大学硬式野球部の助監督を務めた(~17年)。16年からは阪神大学野球連盟の常任理事。22年から関西5リーグ監督会の事務局長も務める。

 ――スタートアップセミナーで学生と接した感想は。

 「まだ3年の11月という時期でしたから、就職する、社会に出るということに、まだ漠然としている。不安以前に、まだ見えてない感じでしたね。何をすればいいのか、どうしたらいいのか。まだ理解するのは難しい時期だけど、だからこそ早く準備してほしい。真っ白のままでは、進むこともできないと思います」

 ――高橋さんの就活経験から、学生にアドバイスできることは。

 「私自身はENEOSさんからのマネジャー採用の話をいただいて決まったので、就活のノウハウなど伝えるものはないけど、友人たちの就活の動きを見ていて気づいたことはある。進路を決めるには、ある意味、割り切れる人間の方が強い。これがダメとなれば、次はここに、と切り替えができるかどうか。もがいて、ズルズルと考え方を変えることができない人はうまくいかない。そんな印象はありますね」

 ――就活をうまく乗り切る人がいれば、その逆もある。

 「残酷な言い方かもしれないけど、縁とか運とかタイミングは正直言って、大事だと思う。一生懸命頑張ってもダメだったり、要領良くて決まることもある。でも縁イコール強力なコネ、ではない。スポーツに打ち込みながら、先輩やOBの人の話をしっかり聞く中で、縁が生まれることもある。そういう機会は大事にしてほしい」

 ――4年間のスポーツ経験を就活にどう生かせばいいのか。

 「インターンなどを経験した一般学生の方が就活では早く動いている。でも体育会系の学生は彼らにはない特別な経験をしている。それをどう伝えるか。3割打った、10勝したとかの成績ではなく、大事なのはそこに至るプロセス。ひとつのことにいかに執着して取り組んだか。そこで企業が求めるメンタリティー、バイタリティーが評価される。社会というのは非常にドライ。めまぐるしく変わる世の中を生き抜くメンタルがあれば、それが体育会系の学生にとっては武器になる」

 ――就活では壁にぶつかったり、うまくいかないこともある。

 「だからこそメンタルが必要。つらいとき、厳しいときには、人とのつながりがものを言う。無人島で生きているのではない。人との関わりでみんな生きている。だからこそ、出会った人は大切にしてほしいし、苦しいときは友人や彼女の存在を支えにできる。どういう仕事が向いているか。周りの人の意見も聞くべきだと思いますね」

 ◆就活のためのキーワード

 (1)進路を決めるには、割り切れる人間の方が強い。これがダメとなれば、次はここに、と切り替えができるかどうか。もがいて、ズルズルと考え方を変えることができない人はうまくいかない傾向が強い。

 (2)縁とか運とかタイミングが大事になってくる。縁イコール強力なコネ、ではない。スポーツに打ち込みながら、先輩やOBの人の話をしっかり聞く中で、縁が生まれることもある。そういう機会は大事にしてほしい。

 (3)就活でも人生でも、人とのつながりが基本になる。出会った人を大切にし、苦しいときは友人や彼女の存在を支えにできる。どういう仕事が向いているか。周りの人の意見もしっかり聞くべき。

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