【高校野球メモリアルイヤー】ダルビッシュ有が涙した日「3年生ともう野球が…」
2018年05月30日 11:00
野球
「1つ上の3年生たちに凄く優しくしてもらっていた。最後勝てなくて、この人たちともう野球ができないんだと思うと、凄く悲しかった。負けた悔しさというよりもね」
2―4。2回に1年生・加藤政義(元DeNA)らの3連続二塁打で先制点をもらったが、4回に坂克彦(元阪神)のチャンスメークから逆転を許した。常総学院を率いるのは、勇退を決めていた木内幸男監督(08年復帰)。「あんな球、打てっぺ!」とハッパを掛けられた相手選手たちは、バントなしで振ってきた。「木内マジック」の勝利――。試合を伝える報道のトーンは総じてそうだった。
「結果論じゃないかと思いますね。常総学院には単純に、いい選手がいた。いくら木内マジックといっても、レベルの低い選手ではマジックは起きない。坂さんが左中間に打った二塁打は、真ん中低めの真っすぐ。いいバッティングでした」
定量化不可能な「魔術」と違い、確かだったのは、ダルビッシュのコンディションだ。1メートル94の長身から最速149キロを投じる剛腕には、才能と成長過程のもろさが同居していた。筑陽学園(福岡)との1回戦は宮城大会前から不安があった腰の痛みで2回降板。黒縁眼鏡をかけた背番号18、真壁賢守の好救援が脚光を浴びた。
2、3回戦は完投。3回戦は平安(京都、現龍谷大平安)の服部大輔と2年生同士で火花を散らした。ダルビッシュ15、服部17奪三振で延長11回まで渡り合い1―0で勝利。しかし、救援登板した光星学院(青森、現八戸学院光星)との準々決勝で、今度は右すね内側の筋肉がけいれんした。試合後に直行した病院での診断は「過労性骨膜炎」。準決勝の登板を回避した。
「体はあちこち痛かったけど、あの決勝は最後まで投げたいなという思いがあった」
決勝前夜、若生正広監督の部屋を訪ね「自分は投げないといけないんです。先発で最後まで投げさせてください」と訴えていた。12安打を浴びながらも124球完投。閉会式での場内一周では右足を引きずる姿があった。
「甲子園の決勝で投げたのは自慢にはなります。この辺から、周囲の東北高校を見る目が変わりましたね。宮城県でもそうだし、一気にスターの高校になった感じがしました」
東北勢の準優勝は5校目だった。ダルビッシュ、真壁や4番・横田崇幸ら、決勝で涙したナインの多くは2年生。阿久の観戦記には「レギュラーが来年も出られるのだから、楽しみの延期と思えばいい」とある。3年生になったダルビッシュは春夏ともに聖地に立った。センバツ初戦、熊本工戦でノーヒットノーラン。ただ準々決勝で敗れ、夏も2完封後の3回戦で千葉経大付に屈した。「悔いはない」と涙はなく、甲子園の土も持ち帰らなかった。 =敬称略= 第2章終わり
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