田淵幸一氏 阪神・中野の気迫のスイング 矢野監督の執念が乗り移ったかのようだった

2021年09月04日 07:45

野球

田淵幸一氏 阪神・中野の気迫のスイング 矢野監督の執念が乗り移ったかのようだった
<神・巨>7回、選手交代を告げる矢野監督(撮影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神7-3巨人 ( 2021年9月3日    甲子園 )】 【田淵幸一 視点】かつてドジャースを率いた名将ラソーダ監督に「6回までは寝ていてもいい。監督の仕事は7回からだ」と言われたことがある。その7回に矢野監督は動いた。代打攻勢。さらに2死満塁で一塁走者のサンズに代走・小野寺を送った。どうしても勝ちたい。そんな執念が伝わった。
 左打者の中野と変則左腕の大江。外角球を打った打球が三遊間深くに飛ぶかもしれない。サンズなら二塁封殺となるケースでも、小野寺ならセーフに。少ない可能性も考慮した代走だ。この時点でベンチに残った野手は2人だけ。9回打ち切りだけに思い切った起用法が可能になる。これこそが矢野監督が目指す全員野球だろう。

 巨人先発・戸郷が対左の被打率が・271と苦手とあって、矢野監督は1~3番を含めた左打者5人を起用した。結果、1~3番は11打数1安打も、その1本が中野の値千金の3点三塁打。内角のボール球だったが気迫のこもったスイングで、指揮官の執念が乗り移ったかのようだった。

 非常に面白い、見応え満点の試合。気になったのは28打席連続無安打の佐藤輝だ。球団の新人本塁打数で私の記録を抜いたが、下半身に疲れがあるのか三振が多すぎる。6回無死二塁で空振り三振。ただ振り回すだけでなく、最低でも進塁打にする必要がある場面だった。優勝争い。この日3安打の大山のように、つなぎの打撃も考えてほしいと思う。(スポニチ本紙評論家)

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