只見 大会初ナイターも聖地で堂々!全力13人で刻んだ1点 長谷川監督「財産」

2022年03月23日 05:30

野球

只見 大会初ナイターも聖地で堂々!全力13人で刻んだ1点 長谷川監督「財産」
<只見・大垣日大>初戦突破ならず、応援団へのあいさつを終えて引き揚げる只見ナイン(撮影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 【第94回選抜高校野球大会第4日第3試合・1回戦   只見 1―6大垣日大 ( 2022年3月22日    甲子園 )】 21世紀枠の只見(福島)は大垣日大(岐阜)に1―6で敗れたが、特別豪雪地帯で地道に努力を重ねた13人の選手が聖地に足跡を残した。
 カクテル光線に照らされ、只見ナインの笑顔が輝いた。夢の甲子園。勝てなくても全力を出した。胸にあふれる満足感。「只見高校で野球をして(甲子園で試合するとは)夢にも思わなかった。一生に一度あるかないかの体験。只見の財産」。試合後、長谷川清之監督は感慨深げだった。

 午前中の雨の影響で第1試合から開始時間が遅れ、開始は午後6時26分までずれ込んだ。今大会初のナイターで気温も7度まで下がったが、生活に支障が出る「特別豪雪地帯」で知られる福島県只見町の球児たちにとって寒さはお手の物だ。先発のエース・酒井悠来(3年)が07年大会で準優勝に輝いた実績もある強豪を相手に毎回走者を背負いながらも7回を6安打4失点と耐えた。打線は序盤から三振の山を築いたが決して下を向かず、4回2死一、三塁では5番・山内友斗(3年)が右前適時打。先発全員の18三振を喫したが、スコアボードに歴史的な「1」を刻んだ。

 学校に室内練習場はなく、冬場の練習は限られる。創意工夫して練習に励み、それが21世紀枠での選出理由となった。雪の積もったグラウンドで長靴を履いて「雪上ランニング」を行い、足腰と体幹を強化。酒井悠は降り積もった雪の壁に向かって投球練習を繰り返した。ボールで開いた穴を何度も狙うことで制球力を磨いた右腕は「甲子園という地でしっかり投げられたことが誇り」と胸を張る。

 試合には選手13人全員が出場し一方的な展開にさせなかった。白銀の世界からやってきたナインが甲子園の土を踏みしめた。夢のような1時間53分。試合後、只見ナインを温かい拍手が包み込んだ。(秋村 誠人)

 ≪最も遅い開始&終了≫天候不良により第1試合は当初の9時から午後0時28分の開始となり、第2試合も延長11回までもつれたことで、第3試合の只見(福島)―大垣日大(岐阜)は午後6時26分に始まり、午後8時19分に終了。大会本部によると試合時間が確認できる78年の第50回大会以降では開始、終了ともに最も遅い時間の試合となった。これまで最も開始時間が遅かったのは第64回大会の佐賀商―東農大二(群馬)の午後6時17分。最も終了が遅かったのは第78回大会の北大津(滋賀)―日本文理(新潟)の午後8時18分だった。

 ≪地元2校が友情応援≫只見ナインを多くの人たちが支えた。吹奏楽部がないためスタンドでは兵庫県の東灘と神戸鈴蘭台の吹奏楽部が合同で「友情応援」を実施。東灘吹奏楽部部長の中田奈歩さん(3年)は「精いっぱいの力を出して応援したい」と語った。地元の只見町内の温泉宿泊施設で行われたパブリックビューイングには町民約130人が集まり只見の伊藤勝宏校長は「残念ですが、甲子園で1点取ってくれたことが凄くうれしい」と目を潤ませた。

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