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万年最下位争いのチームが連日満員 ファンの期待と熱くて温かな視線

2024年05月21日 11:00

野球

万年最下位争いのチームが連日満員 ファンの期待と熱くて温かな視線
韓国プロ野球・ハンファの応援風景(ストライク・ゾーン提供) Photo By 提供写真
 【室井昌也 月に2回は韓情移入】1リーグ10球団制の韓国KBOリーグでこの5年の順位が9、10、10、10、9位のチームがある。ハンファ・イーグルスだ。そのハンファの試合が「連日満員」になっている。
 ここまでのホーム23試合のうち21試合が大入り満員。5月1日には昨年からの本拠地での満員がリーグの連続試合記録を更新した(17試合)。多くのファンが球場に訪れている理由について、ハンファ球団の鄭ミョンウィPRチーム課長は「積極的な戦力補強に対する、ファンの期待の高さ」を挙げた。

 ハンファは昨オフにロッテ・ジャイアンツから強打者の安致弘(アン・チホン)内野手を獲得。春季キャンプ中にはメジャーリーグから元エースの柳賢振(リュ・ヒョンジン)が、12年ぶりに古巣復帰した。

 2月に2週間限定で販売されたシーズンチケット(年間指定席)は「前年比3・5倍増の売れ行き」と同球団のマーケティング担当者は話す。

 ハンファの年間指定席は、大半の席種が選択可能。「全試合(地方開催を除いた65試合)」と「週末限定」の2種類があり、内野応援団席の場合、全試合が84万ウォン(約9万2400円)、週末限定が33万9000ウォン(約3万7290円)だ。1試合あたり3~500円程度、一般販売より割安な価格で、自分だけの座席が確保できる。シーズン前に固定客の獲得に成功したのが盛況の理由の一つにある。

 「連日満員」のハンファのホームゲーム。観客数は昨季同時期の約1・5倍増だが、10球団の中では7位に過ぎない。韓国中部の大田(テジョン)市にあるハンファ生命イーグルスパークの収容人員は1万2000人で、リーグで最も少ないからだ。

 だがハンファの動員力は他球団の本拠地でも発揮され、ビジターゲームでの平均観客数は10球団中トップ。リーグ平均を2400人上回る、1試合平均1万6728人がスタンドを埋めている。

 では、今季のハンファは強いのか?というと4月初めは首位だったが現在は1位と12ゲーム差の9位に沈んでいる。入場券の一般販売開始は試合のわずか1週間前。チームの直近の成績がイマイチだとわかっていても、ファンの足は遠のいていない。

 勝てないがファンは集まるハンファの試合。若い世代を中心とした男女が、点差が開いたゲーム終盤でも席を離れることなく声援を送り続けている。「若い選手たちが頑張っていますから」とファンは話し、黄色い声援と野太い激励が球場内に響く。ミスに野次が飛ぶことは少ない。

 かつて大田ハンバッ野球場と呼ばれたハンファのホーム球場は、リーグで最も古い築60年。怒号がとびかうこともあった粗野な雰囲気は、13年ポスティング移籍の「柳賢振マネー」を投入したリニューアル工事と野球人気の高まりとともに過去のものとなった。

 同球場は今季がラストイヤー。現在、同球場の隣で新球場の建設作業が進み、来季からは2万人規模のボールパークがハンファファンの新たな居場所となる。

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