松坂大輔氏 低反発バットがレベル向上につながれば 甲子園取材で感じた「芯で捉えるため」の変化

2024年08月27日 05:00

野球

松坂大輔氏 低反発バットがレベル向上につながれば 甲子園取材で感じた「芯で捉えるため」の変化
テレビ解説のため甲子園を訪れた松坂大輔氏(撮影・後藤 大輝) Photo By スポニチ
 【平成の怪物が行く 松坂大輔の探求】スポニチ本紙評論家・松坂大輔氏(43)による月1回の連載コラム「松坂大輔の探球」8月編は、高校野球で今年から導入された新基準の低反発金属バットについて。松坂氏は今夏も甲子園大会を現地で取材し、明らかに打球が飛ばなくなったとの印象を持った。今後、新たなバットで高校野球がどう変わっていくのか。投手としての視点も交えて語った。
 今までなら「行った!」と思うような打球が、フェンスの手前で失速する――。今夏はそんなシーンを何度も見ました。

 低反発の、いわゆる「飛ばない」金属バット。今春の選抜から導入されましたが、明らかに打球は飛ばなくなりました。今大会の総本塁打数は昨年の23本からわずか7本に。自分が高校生だった頃のように、詰まりや先っぽでもいい打球が飛ぶ、というイメージは完全になくなりました。実際の「打感」はどうなのか。機会があれば新バットで一度打ってみたいと思いますね。

 このバットによって、高校野球がどう変わっていくのか。芯が狭く、確実にボールを捉えるための技術も練習で身に付けなければならないでしょう。トレーニング法も変わってくるかもしれません。それが結果的に高校野球のレベル向上につながればいいな、と思います。高卒後に大学やプロなど上のカテゴリーで野球を続ける選手にとっては、低反発バットで身に付けた技術は役に立つはずです。

 自分は投手でしたが、その視点から見た時には明らかに投手に有利です。今大会も完封試合は昨年から10試合増の17試合。単純に打球が飛ばないとなれば、投手はどんどん高めのボールで勝負ができます。打球を遠くに飛ばしたくない時は、低めを意識するのがセオリーであり基本でしたが、より大胆な攻めが可能になります。

 対する攻撃側も、チームとしての攻め方の新たなスタイルが求められるでしょう。ただ単に強く振ればいいというわけではない。例えば今大会では南陽工(山口)が全員がバットを短く持ってコンパクトに、という打撃を徹底していました。バットに合わせた攻撃の仕方。全国の高校にとって今後のテーマになってくると思います。

 導入1年目。まだまだ各校とも試行錯誤の段階ですし、時間がたてば慣れてくる部分も出てくるはず。いい面、悪い面ともありますが、現段階で100%の答えを求めるのは難しい。ただ「変化」が必要なことだけは間違いありません。かつての池田(徳島)の「やまびこ打線」や、PL学園(大阪)の清原和博さんら強打者は、打球の音と飛距離が比例する時代がありました。新たな時代の高校野球がどんな「答え」を出すのか、注目していきたいと思います。(スポニチ本紙評論家)

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