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黒田博樹氏 広島の投手陣9月失速の原因は「エネルギー切れ」 春先から僅差の試合続き“心の疲労”蓄積

2024年10月07日 05:45

野球

黒田博樹氏 広島の投手陣9月失速の原因は「エネルギー切れ」 春先から僅差の試合続き“心の疲労”蓄積
6月、試合前に新井監督(左)と話し込んだ黒田氏(撮影・西川祐介) Photo By スポニチ
 広島OBで球団アドバイザーを務める黒田博樹氏(49)が6日、スポニチの単独インタビューに応じた。V争い佳境の9月戦線で歴史的な大失速に沈んだ今季。8月末時点で12球団トップの防御率2・25を誇った投手陣も、最後の勝負どころで息切れした。原因はどこにあるのか。黒田氏は、自らの経験を踏まえ「メンタル面で疲弊が募り、エネルギーが切れてしまったのでは」との見解を示した。(取材・構成 江尾 卓也)
――投手陣失速の原因をどう見ていますか。

 「もちろん僕は今のような酷暑の中では投げていませんが、経験で言わせてもらうと、春先から僅差の試合が続きトップギアに上げる登板が多かった影響じゃないか…と思っています。得点力がなかなか上がらない中でも勝ちたい。そこで精神的なスタミナが…」

 ――奪われた…と。

 「最後は精神的なスタミナがなくなった。エネルギーが切れてしまった…という言い方が伝わりやすいかと思います。極端ですが、野手に例えると、30打席連続で快音を発しているのに正面を突き、なかなかヒットにならない。そうなると、メンタルが健全でなくなる。その積み重ねは大きいと思いますね」

 ――大瀬良投手が顕著で、防御率1・86でも6勝止まりでした。

 「防御率は変動するけど、勝利数が減ることはない。先発投手に限ってですが、精神安定剤は勝ち星なんですよ。防御率4点台でも、2桁勝っていればメンタルはある程度安定するでしょうから」

 ――なるほど。

 「前半戦で防御率0点台に抑えても勝ちが付かないのは、彼(大瀬良)にはストレスだったと思うんです。投手は次の登板に向けて修正しますが、0点台で何を修正していいのか。しかも勝てていない。苦しみは本人にしか分からない。8月末か9月初めか、僕が球場に足を運んだ時、珍しく彼がフラッと来たんですよ。相当に参っていると感じました」

 ――大瀬良登板時(2番手が救援するまで)の援護点は、1試合平均1・28点でした。

 「僕もそういうメンタルに陥ったことがあるし、眠れない経験もたくさんしてきましたから。ただ僕自身、反省するところがあるのも事実で、彼ら投手陣にもう少しうまく接することができたのでは…と思っています」

 ――救援陣も終盤は苦況に陥りました。

 「僅差と点差が開いた登板では、心の疲労度が違う。それが積み重なって9月に。気持ちは“さあ行くぞ”だったと思うんですよ。頭で頑張ろうと思っても体が動かず、最後は心身両面で持ちこたえるのが難しくなった。それが、あと少しの粘りに出たのかな…と」

 ――一方で首脳陣が体調、球数などを管理して離脱者を防いだのは成果でもあります。

 「なぜそうやったかと言うと、勝負の9月戦線を乗り切るため。なのに、エネルギー切れを起こした。新井監督にすれば想定外というか、一番の誤算だったと思うんです。よく屋外球場で体力の消耗が激しいとか、移動距離が長い…とか言われますよね。それも失速の一要因でしょうが、8月までの粘りが9月に続かなかったのは、体力以上にメンタル面の疲弊が大きい。前半戦の防御率改善を裏返せば、それだけのエネルギーを使って僅差の試合に勝ってきたということでもあるので」

 ――佳境を勝ち抜く力が投打に必要ですね。

 「チームとして8月まで健闘したのは事実なので、そこは自信にしていいと思います。投手コーチやアナリストを含め、投手陣をサポートする体制は、間違いなく良い方向に行っていると、僕は感じています。苦い経験をどう生かすか…ですね」

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