「虎に翼」で茨田りつ子歌唱 「ブギウギ」制作側「説得力もあって面白かった」
2024年06月28日 08:15
芸能
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「ブキウギ」と「虎に翼」は同時代の物語。前者の主人公・スズ子(趣里)のモデルとなった笠置シヅ子さんと後者の主人公・寅子(伊藤沙莉)のモデルとなった三淵嘉子さんは同じ1914年生まれだ。
福岡さんは茨田りつ子の「虎に翼」登場について「『虎に翼』制作統括の尾崎裕和くんから相談された時はとても面白いと思いましたし、私は熱心に菊地凛子さんと脚本の足立紳さんに説明しました。『ブギウギ』の世界と『虎に翼』の世界が朝ドラという枠の中で交わって、本当に面白いと思います」と語る。
「虎に翼」では4月1日の放送で寅子が「ブキウギ」の「梅丸少女歌劇団」の名を口にし、6月12日の放送で寅子の上司の多岐川(滝藤賢一)が笠置さんのヒット曲「東京ブギウギ」の鼻歌を聞かせるなど、両作の関連性を示していた。6月25日の放送には、寅子が務める家庭裁判所が主催する「愛のコンサート」の出演者に関して多岐川が「彼女がいいんじゃないか」と言った上で「東京ブギウギ」を口ずさみ、寅子が「福来スズ子さんなんて呼べるわけないでしょ」と否定的な言葉を口にする場面があった。
そして、27日の放送で多岐川の同僚・久藤頼安(沢村一樹)の知り合いとして茨田りつ子が登場。久藤の「昔のよしみで僕の頼みを聞いてくれない?」との願いを受け、茨田は「愛のコンサート」に出演することを決断。28日の放送で「雨のブルース」を歌唱した。
福岡さんはこの展開について「足立さんが脚本のチェックもしましたので、完璧に茨田りつ子さんが当然のように『虎に翼』の世界に登場して、とてもワクワクしました。歌唱シーンも使ってもらえたので、説得力もあって面白かったです。足立さんが書いてきたように、茨田りつ子の魅力はズバズバ言うけれど人情深いところだと思います。菊地凛子さんのお芝居もあいまって『虎に翼』でもそこは全開で、結果、熱唱するのがたまらなくすてきな人だと改めて思いました」と手応えを強調する。
「ブギウギ」最終回は歌手引退コンサートを終えたスズ子の日常的なシーンで終わり、画面に「おわり」の表記はなかった。史実として、スズ子のモデルとなった笠置シヅ子さんは歌手引退後、役者業に専念したものの、恩師である作曲家の服部良一さんの銀婚式記念コンサートに特別出演して一度だけ歌を披露したという逸話があり、スピンオフ作品などの制作が可能に思える。
福岡さんは「ブギウギ」の今後の制作について「特に予定はございません」と語るが、「虎に翼」の27、28の両日の放送はその先駆けのようにも感じられた。
◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部専門委員。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。