ネオジャポ辰巳さやか「アイドルなのにここまで攻めるのか!と」 新アルバム「EGOIST」は妥協なき14曲【ソロインタビュー連載第3回】
2024年10月30日 11:00
芸能
辰巳「このアルバムには全14曲が収録されていて、未発表のものが9曲、それ以外は皆さんに披露している曲が含まれています。かなりコアな楽曲があって、『アイドルなのにここまで攻めるのか!』という色んな角度の曲が織り交ぜられているので、アイドルファン以外の方にもぜひ聴いていただきたいです。“前衛的”な楽曲ばかりです。中でも、メンバーのひなちゃんが作詞作曲してくれた『きづいて』や、甲子園予選の曲に使用していただいた『ファンファーレ』(2024tvk高校野球ニューステーマソング)などは割と違う毛色です。少しヴィジュアル系寄りの曲もあったり、ゴンゴンにロックな感じもあって、全く妥協のない14曲です。2年ぶりのこのアルバムを、ぜひ多くの方に手に取っていただきたいですし、今の時代はサブスクもあるので、ミュージックビデオや通学・通勤中に聴くなど、さまざまな方法で楽しんでいただければと思います」
――収録されている楽曲の振り幅は前作と比べてさらに広がったと感じますか?
辰巳「私が特に感じているのはメンバーそれぞれの成長がすごいということです。4人とも本当に尊敬して止みません。それはライブパフォーマンスでも感じますし、このアルバムでは歌い方の成長が大きいです。これを聴いてくださった方は、『どんな子が歌っているんだろう』と興味を持っていただける歌声になっています」
――メンバーの歌声にも注目してほしいということですね。
辰巳「5人が5人とも歌声が違う点がこのグループの魅力です。メンバー一人一人の歌唱力が成長したことで、この振り幅を表現できていると思います。ぜひ注目して聴いてみてください」
――収録曲の中で「きづいて」は日本テレビ「バズリズム02」で初披露され、反響を集めました。辰巳さんがこの曲を初めて聴いたときの印象はどうでしたか?
辰巳「デモ音源を聴いたときから、ひなちゃんの言葉の紡ぎ方が本当に好きだと感じました。歌詞を聴いたり読んだりして、自然にそう思ったんです」
――メッセージ性が強い曲ですよね。
辰巳「今回のテーマには、誹謗中傷や、表に立っている人が抱える葛藤についてのメッセージが込められています。SNSが普及した今、一般の方と有名人の境界が曖昧になり、多様性が認められ、さまざまな人が活躍できる社会になっています。その一方で、誹謗中傷は依然として止まらず、表に立つ人々はそれぞれに苦悩を抱えています。その苦悩が数分間の楽曲の中に凝縮されていて、とても素敵な曲だと思いました。加えて、この曲は、聴く人の心の持ち方によって聞こえ方が変わる力を持っていると感じます」
――実際に披露していかがでしたか?
辰巳「カメラを通しての披露だったので、早く生でファンの皆さんに聴いてもらいたい気持ちが強いです。今回は振り付けも担当させていただいて、既に反響をいただいています。テレビはワンハーフでの披露でしたが、ファンの方が『こういう意味でこの動きをしているのかも』と考察してくださって、『そうそう!そうなの!』と嬉しくて。ひなちゃんが作ってくれた詞と曲に、私も振り付けでさらに花を添えられるようにしていきたいです」
――振り付けでこだわった部分は?
辰巳「AメロやBメロではリリックを拾った動きをしています。それを受けてサビは、各々が自由に解釈するように大きい動きを入れているんです。先ほどお話ししたように、聞く時の心情で感じ方が変わるというところが、ファンの方にも絶対にあると思ったからです。AメロBメロは歌詞を拾っていて、サビでは私たちがとにかく大きくパフォーマンスをします。それに感動していただけるのか、それとも勇気を持っていただけるのか――そこは、みんなに好きなように感じてほしいと思っています」
――特に注目してほしい動きがあれば教えてください。
「サビの『きづいて』というところでは、人差し指でさす振り付けがあります。最初は、日本の文化として『人に指をさす』というのがあまり良い意味ではないのではないかと思い、それをそのまま実行するか迷っていました。でも、プロデューサーさんに見せたところ、『この歌詞の力強さを表現するにはこれが良い』という評価をいただき、これで行くことにしました。バズリズムでもそのシーンがピックアップされていたので、サビだけでも見た人が『きづいて』という曲のメッセージをダイレクトに感じてくれるのが伝わっていれば嬉しいです」
――新体制デビューからこの5年で絶対的な自信を持っている部分や磨き上げてきた部分はありますか?
辰巳「この5年間は確かに年数としては積み上げてきましたが、その中で自分たちも迷うことがありました。皆さんには『着実に5年間やってきた』と言っていただけるんですけど、全くそうじゃないとメンバーが感じる時期もありました。でも、そんな時こそ初心に立ち返って、5人のチームワークがあったからこそ、『闘う』というコンセプトを続けることができました。へこんだり、悔しい思いをしても『この5人でもっとお客さんを楽しませたい』という気持ち、そして『自分たちで楽しもう』という初心に立ち返ることで、今も続けられていると思います。アイドル界の中ではデビュー当初よりずっと多くの方に知っていただけていると思います。チームワークと闘い続けられることが秘訣だと思います」
――今年1年を振り返って、辰巳さんにとって「闘う」というテーマに関連した印象的なエピソードがあれば教えてください。
辰巳「今年は楽曲の振り付けを多く担当させていただきました。まだ今年は終わっていないんですが、既に昨年よりも多くの楽曲で振り付けさせていただきました。最初はネオジャポニズムの振り付けを始めたところから、それを見た他のアイドルやプロデューサーさんからも声をかけていただけるようになって。もともとダンスは好きでも、振り付けを作ることは苦手でした。でもネオジャポニズムで闘い続けてきたからこそ、『自分はできない』という負のイメージではなく、トライしてみようという気持ちに変わりました。今年1年は、コンスタントに自分の力として発揮できるようになったと実感しています」
――振り付けを考える時間というのは、1曲1曲長く取れるものなのでしょうか?それとも短期間で次の曲に移ることが多いですか?
辰巳「半日で仕上げることもありますね」
――半日ですか!
辰巳「はい。このアルバム制作でもそうなんですが、この業界って水面下でいろいろ動いていて、例えば楽曲ができているけど歌詞がまだないとか、それでも先に振り付けをしなければならないといったイレギュラーなことも起こりえます。スケジュールは先に決まっているのに、楽曲や歌詞が上がってこない、歌割りが上がってこない…なんてこともあります」
――大変な状況ですね。
辰巳「そうですね。でも、そんな時こそ自分を奮い立たせて、焦らずに落ち着いて対処することの大切さを、この1年で学びました。時間は限られていても、どの楽曲も妥協せずに120%の気持ちで振り付けを作っています」
――新体制デビューから丸5年を迎える12月14日に日比谷野音でワンマンライブがあります。そのステージに向けてどのような取り組みをされていますか?
辰巳「ファンの皆さんはご存じかと思いますが、平日に5人で毎日配信を行っていて、メンバーが日替わりで担当しています。ライブの強みに自信は持っていますが、立ち返ってみるとメンバー自身のパーソナルな部分をあまり知ってもらえていないのではと考えたことが、この配信のきっかけです。ですので、ライブパフォーマンスもそうだし、メンバー個々のパーソナルな魅力もファンの方々に知ってもらいながら、みんなで作り上げるライブにしたいです」
――どのようなステージにしたいですか?
辰巳「今回のワンマンライブでは私も演出に関っています。ファンの皆さんが期待してくれている以上のものをどうやって見せられるか、そしてメンバーそれぞれの良さがどこでどうしたら一番伝わるかを考えて、めちゃくちゃ作り込んでいる最中です。絶対に期待を超えるので、楽しみに待っていてほしいです」
――期待が高まりますね!ちなみに、毎日配信を通じて、他のメンバーの新しい魅力に気づくことはありましたか?
辰巳「やはりメンバーそれぞれが異なる毛色でやっていて、1人で話す機会というのはこれまであまりなかったので、『こんなに喋れるんだ!』と驚きました。例えば、福田みゆちゃんは麻雀をしながら配信をしていて、私が知らなかった一面や、私の知らない世界を見せてくれました。ひなちゃんはギターについての配信をしていて、それぞれが私にはないものを持っていることを改めて感じました。そういうところが本当に素敵だなと思います」
――5年間一緒に活動していても、まだ新しい発見があるのは素晴らしいですね。では最後に、日比谷野音でのワンマンライブに向けてファンの方々にメッセージをお願いします。
辰巳「本当にいつも応援ありがとうございます。皆さんがいてくださったからこそ、この大きなステージでワンマンライブを実現できたと思います。感謝の気持ちでいっぱいです。今の私たちがこれだけのパフォーマンスを見せられるんだということを、ぜひ楽しんでいただきたいです。寒いかもしれないので、防寒対策だけはしっかりしてきてください(笑)でも、きっとすぐにめちゃくちゃ熱くなるライブになると思います。最高のワンマンライブにしますので、楽しみにしていてください」