リオのマラソンコースは風光明媚な名所&絶景続き…ただし試走は危険
2016年08月04日 12:10
五輪
5キロ地点から始まるグアナバラ湾沿いの周回コースは風光明媚(めいび)。1周10キロを3周走る。ヨット群の海とコルコバードのキリスト像に代表される岩山など、世界遺産の息吹が聞こえてくる名所だ。
レース序盤と終盤は市街地を駆け抜ける。歴史的建造物が点在する街並みは、1960年まで首都だった面影が残る。終盤は曲がり角が多い。選手は神経を使う道だが、景観は素晴らしい。市の「リオの旧市街地を紹介したくてコースを選んだ」という意図が理解できた。周回コースが自然美なら市街地は人工美。リオの2つの美に囲まれて選手はメダルを目指す。
リオのカーニバルのサンバ会場で、危険とささやかれるサンボドロモ周辺は、スタート、ゴールの発着点。確かに貧しい住民が暮らしている。女子代表の伊藤舞(大塚製薬)は安全面を考慮して試走をしない計画を明かしていた。だが、案内役のタクシー運転手・マルコ・リカルドさん(31)は「サンボドロモ周辺はファベーラ(スラム街)とは違う。危険な地域というのとはちょっと違うな。でも、暗くなれば荷物に気を付けた方がいい」と、リオで過ごす通常の心得を口にした。
選手にとって敵は2つ。1つ目は周回コースを吹く風。この日は風速10メートル近い強い風が吹いた。フラメンゴ海岸沿いでココナツジュース店「オアシスドエミール」を営むエミール・ファヤージさん(56)は「湾だから風は起きやすい。特に雨が降る前に吹く南西の風は強いんだ」と説明した。22年間もここで営業する海岸通りの生き字引。この夜、確かに快晴だった昼と一転して強めの雨が降った。
2つ目の敵は日差しだ。男女のスタート時刻である午前9時半の気温は22度だった。同10時30分で25度、同11時30分で26度に達した。太陽が強く照りつけ、気温以上にかなり暑く感じ、容赦なく体力を奪うことが推測できる。湿度は60%台。88%だった昨夏の世界選手権(北京)ほどの過酷な蒸し暑さはない。肌を刺す日差しとの戦いになる。本番では、確実に水分補給をすることがメダルへの近道になる。