55歳カズ、開幕スタメンでJFL最年長出場更新!60分で「ガス欠」も“鈴鹿フィーバー”観客3倍超
2022年03月14日 05:30
サッカー
開幕スタメン。プロ37年目のカズにも特別な響きだ。集合写真では大声でカウントダウン。「日本代表時代からのルーティン」と笑う。開始とともに集中力が増し、ゾーンに入る瞬間が心地よいという。「60分くらいでガス欠を感じ、自分で交代の合図を出した」と後半20分までプレー。「去年が出場1分だからもう65倍だね」。ピッチに立つ喜びが全身からあふれた。
シュートはゼロ。だがそれも「プラン通り」と言う。Jリーグでは考えにくい枯れた芝、不規則に弾むボール。細かくつなぎ、ゴール前に進入したいが、意図的に下がり、守備にも奔走。相手リスタートでは率先して時間もつくった。「JFLは素直な子が多い。マリーシアが悪いことと思ってる」。カズの経験と知性が、後半の攻勢につながった。
勝利の瞬間、兄の三浦泰年監督と抱擁した。出場1分の昨季、構想外を悟り、横浜FCから移籍を決意。8クラブ競合の末、選んだのが兄の率いるチームだった。少年時代は全国高校サッカー選手権の大会歌「ふり向くな君は美しい」を流しながら畳の上で1対1に明け暮れた。中学時代、ふがいないプレーをすれば試合中に5、6発殴られた。常に追ってきた背中だった。
スーパースターとなったカズに遠慮なく言える存在、それも兄だ。カズは「僕という選手は良くも悪くも監督にとってはストレス。使えば勝たなければいけない、それは賭けでもある」と言う。だからこそ自身の得点より勝利を優先し、白星をつかんだ。唯一の不満は「ハグの時、もっとグッと来てほしかった。そこは昔からの怖いヤスさん」と笑った。
観衆4820人。鈴鹿では19年5月ヴィアティン三重戦でのクラブ最多入場者(1308人)を3倍以上も更新した。カズの新たな挑戦は始まった。次戦は20日、マルヤス岡崎戦。開幕2連勝とゴールも狙う。そして今度こそ「グッ」と力強い兄弟のハグを交わす。
≪関係者「歴史的」、メディア42社76人集結≫駆け付けたメディアは42社76人。JFL関係者によれば「今までメディアの数といえば1~2社。あれ、今日はいましたか?というレベル。まさに歴史的」と驚きを隠せない。近鉄四日市駅からは臨時バスも運行、試合を運営するスタッフの数もJ1並みの212人に及んだ。グッズの売れ行きも好調で、カズのタオルマフラーは用意した300枚が完売した。