サッカー元日本代表MF細貝萌「本当に俺は死ぬかもと」19年に「膵のう胞性腫瘍」で生死さまよった
2022年03月14日 22:03
サッカー
世間には体調不良と公表していたが、実は「胃の後ろに臓器があるんだけど、そこにちょっと影っぽいのが映ってるって言われた。そしたらドクターが膵臓に腫瘍あります」と宣告されていたことを明かした。
細貝の病名は「膵のう胞性腫瘍」。膵臓内の細胞が何らかの原因で増殖し膨張、膵臓による消化機能が低下する原因不明の病だった。その症状が判明する当日も食事をほとんど取れなかったという。細貝は病名を聞いた時は「血の気が引いた」とショックを受けた。
「カウントダウンに入ったということだけが頭いっぱいで。その時は本当に俺は死ぬかもと思っていた。どうしようかなって」と言葉に詰まった。また「子供大きくなったら、俺のこと覚えてないかなとか。忘れられる思った。俺がいなくなったら。まだ、子供小さかったし」と涙交じりに振り返った。
妻の中村は、当時の細貝の様子に「娘の前では泣かなかった。夜は泣いてました。不安でしようがない」と思い返した。細貝は「僕自身は終わったなと思っていた。子供に何か書かなきゃなって。自分の気持ちをバーっと書いて」と、死を覚悟して娘への思いを記した手紙も書いていた。
そして腹部を6カ箇所切る大手術で3時間の末、無事に腫瘍を摘出。だが、痛み止めの副作用で1時間に10回以上のおう吐、体が言うことを効かず寝返りすら打てない状況だったという。軽いパニック状態だったという細貝は「サッカーどころじゃなかった。もう絶対無理と思った。『俺、サッカーやめるわ』って言ったのを覚えている」と現役続行を諦めていた。
それでも、娘の存在、言葉が細貝を奮い立たせた。「パパダメかもって冗談で言ったら、そしたら『そうなのー?』って感じなんですよ。3歳だったので。だからそれが逆に良かった」と無邪気な言葉に救われた。「頑張らなきゃいけないという気持ちでずっと闘っていた」と現役復活への過酷なリハビリを乗り越えた。そして家族の支えもあり、3カ月後にはピッチに立った。また「一年に一回検査に行かないといけない。だから怖い。毎回怖い」と再発の恐れもあり、現在も病と闘っている。