サッカー選手の枠を越えて、日本とインドネシアの懸け橋に

2023年07月12日 07:00

サッカー

サッカー選手の枠を越えて、日本とインドネシアの懸け橋に
新加入選手として抱負を述べるC大阪ヤンマーレディースFWザーラ・ムズダリファ Photo By スポニチ
 【スポニチ蹴球部コラムFootひと息 】 2023年は、日本とインドネシアの国交樹立65周年、さらに日本とASEAN(東南アジア諸国連合)の友好協力50周年という記念すべき年である。6月には天皇皇后両陛下も同国をご訪問された。来季から女子プロサッカーのWEリーグに参入するC大阪ヤンマーレディースにも、同国から“パイオニア”がやって来る。
 新加入のFWザーラ・ムズダリファ(22)は“究極の育成型”を掲げる同クラブにおいて、唯一のアカデミー、提携校出身ではない選手だ。インスタグラムのフォロワー数は驚異の90万人超。トップチームの香川真司の約175万人には及ばないが、元日本代表・本田圭佑の約100万人に迫る数に人気がうかがえる。クラブ関係者によれば、7日の新体制発表よりひと足早く現地で行われた移籍会見には、140人の報道陣と日本大使も駆けつけたほど注目度が高かったという。

 7歳からサッカーを始め、11~15歳のセレクションで選ばれた100人が所属するアシアナサッカースクールでは、男子に交じってプレーしてきた。だが、女性がプロサッカー選手を目指すことへの風当たりは強かった。諦めなかったのは「プロになる」という信念があったから。インフルエンサーとしての生き方を選んだのも、自らを知ってもらうための手段だ。

 ザーラは同国代表チームのスター選手でもあるが、世界ランクは低い。6月9日に発表されたFIFAの最新ランキングは日本11位に対し、105位。この差を埋めることも、自身に課された役割だと認識している。「トレーニングの前後で、日本の選手はプラスアルファをしているし、日本では何百本もパスの練習をする。格好良く見せるより、基本的な練習こそが大事」と違いを痛感した。クラブの戦力としてだけではなく、自国のレベルアップも見据えての、異国での挑戦だ。

 素顔は、タレントのみちょぱに似た顔立ちで、寿司とたこ焼きをこよなく愛す一面も持つ。サッカー選手の枠組みを越えて、彼女が日本とインドネシアの懸け橋になることを願ってやまない。 (北野 将市)

 ◇ザーラ・ムズダリファ 2001年4月4日生まれ、インドネシア出身の22歳。7歳からサッカーを始め、アシアナサッカースクールを経て昨季はイングランド・サウスシールズFCでプレー。23―24シーズンからC大阪ヤンマーレディースに加入。インドネシア女子代表。1メートル63、50キロ。

おすすめテーマ

2023年07月12日のニュース

特集

サッカーのランキング

【楽天】オススメアイテム