【蹴トピ】東京V-横浜 黄金カード再び 93年J開幕戦の激闘が32年目によみがえる
2024年02月21日 06:00
サッカー
83~92年の日本リーグの終わり頃は多くのタイトルを両雄が分け合っている。日本リーグは読売が5度、日産が2度優勝、天皇杯は読売が3度、日産が6度も制した。まさに2強時代。読売が77年、日産は79年に日本リーグ1部に昇格。共に将来のプロ化を目指し、急激に力を付けていった。
93年10月のドーハの悲劇も両チームの選手が多数出場した。読売にカズ、ラモス瑠偉、武田修宏、都並敏史、日産には松永成立、井原正巳、勝矢寿延らをはじめ、スター選手がずらり。悲劇とはいえ、社会現象ともなりJリーグ人気をさらに加速させる一因となった。
一方、意外だったのは2強の直接対決。79~85年は読売が10勝2分けと圧倒。それが87年3月からは一転、J開幕戦前まで日産が12勝4分けとやり返し、いずれも一方的な展開が続いた。最終的にはJ開幕後の93年7月まで日産~横浜Mの不敗は続き、19戦負けなし(15勝4分け)まで記録を伸ばした。
Jリーグの開幕が正式に決まると横浜MではMF木村和司と水沼貴史、V川崎はDF加藤久とラモス瑠偉ら30代のベテラン勢も奮起し、93年5月の国立に立った。特に加藤は早大助教授や日本協会強化委員長の要職も兼務していた。現在では考えられないが、フルに練習参加できず、当時の松木監督と対立。開幕戦で起用されるか否かは連日、報道された。次戦から出場機会が激減したため、7月には清水に移籍、シーズン中移籍の第1号となるなどピッチ外の話題面でも日本をリードしていた。
あれから31年。東京Vが16年ぶりにJ1に返り咲き、再び宿敵との開幕戦を迎える。舞台も国立とくれば、オールドファンには垂ぜんの一戦だ。横浜には水沼貴史の長男、MF水沼宏太がいて、東京Vには今オフ、横浜からオファーを受けながら残留した主将のMF森田晃樹がいる。
いよいよ32年目のJリーグ。「黄金カード」はどんな戦いを見せるか。緑とトリコロールの激突は新時代に突入する。
≪見てもらうために徹底議論 細部にこだわり観客集めた≫ 31年前の開幕戦は国立競技場が6万人の観客で埋まり、NHK総合で生中継された。日本リーグ時代は招待券を大量配布しても国立が満員になることはなかった。成功の要因は多くの人に見てもらうためにはどうあるべきか――を徹底的に議論したことだ。
まず舞台づくりにこだわり、常緑の芝とナイター照明にも力を注いだ。ユニホームはミズノが全チーム分を製作し、ナイター映えする派手なデザインを選んだ。グッズもソニー・クリエイティブプロダクツが全ての開発に携わり、あらゆるものにペットマーク、ロゴが躍った。
当時の記憶もよみがえる東京V―横浜戦。佐々木氏は「このカードはもうないかと思っていた。サッカーは変わったが、楽しみ」と感慨深げに話した。
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