兵庫県知事パワハラ疑惑 副知事が号泣辞職 一緒に辞職5回進言も「知事に断られた」

2024年07月13日 05:30

社会

兵庫県知事パワハラ疑惑 副知事が号泣辞職 一緒に辞職5回進言も「知事に断られた」
辞職を表明し、涙を流す兵庫県の片山安孝副知事 Photo By 共同
 兵庫県の斎藤元彦知事(46)のパワハラ疑惑などを告発する文書を配布し、懲戒処分を受けた元県西播磨県民局長の男性(60)が死亡した問題で、片山安孝副知事(64)が12日、今月末で辞職すると表明した。斎藤氏に5回にわたり辞職を進言、拒否されたと明かした。知事就任翌月の2021年9月から支えてきた最側近。斎藤氏の進退問題への発展は不可避の情勢となった。
 県職員労働組合による知事辞職要求書を10日に苦渋の表情で受け取った片山氏。記者団に「県政に混乱を招いたことを重く受け止め特別職の誰かが責任を取らないといけないと考えた」とし、「知事を支えられなかった自責の念がある」と涙ながらに声を震わせた。

 10日に辞職を否定した斎藤氏と11日に面談した際、一緒に辞職するよう促したが、「選挙で負託を受けている。任期を全うしたい」と拒否された。辞職の進言は6月以降、11日を含めて5回にも上っていたという。

 県は内部調査で告発文書は誹謗(ひぼう)中傷と認定し、男性を処分。一方、調査の中立性を疑う声が噴出、県議会で調査特別委員会(百条委員会)設置の機運が高まる中、片山氏は6月、最大勢力の自民党会派を訪れ、自身の辞職を条件に百条委設置の提案を取り下げるよう要望。斎藤氏を守る趣旨だったとみられる。自民側に蹴られた後も、県政正常化へ進言を繰り返してきた。知事と副知事の間のやりとりまで暴露した辞職表明。もう支えることができないと、さじを投げたとみられている。

 19日の百条委に証人として出席予定だった男性が死亡する事態にまで発展。片山氏は一連の経緯を巡り、斎藤氏が3月の会見で「うそ八百」「公務員として失格」と断罪した点を取り上げ「知事の初期対応がうまくできていなかった。すぐに謝るべきだった」と批判。県職員や県議らとのコミュニケーション能力に「課題があった」と繰り返し指摘した。

 斎藤氏はこの日夕の会見で「県政を立て直すため力を尽くしていくのが私の責任」と、改めて辞職を否定。5回も辞職を勧められたことについては「重い進言」とする一方、続投を「迷うことはなかった」と言い切った。

 県民からは「なぜ知事ではなく副知事が辞職するのか」と疑問視する声も。「知事として失格」と不信感が広がり、包囲網が狭められていきそうだ。

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