ハリス氏で大統領選に勝てるのか バイデン氏以上に“不人気”の副大統領 焦点は早期にまとまれるか

2024年07月23日 05:30

社会

ハリス氏で大統領選に勝てるのか バイデン氏以上に“不人気”の副大統領 焦点は早期にまとまれるか
4日、米ホワイトハウスのバルコニーで、ハリス副大統領(中央右)の手を取るバイデン大統領(AP) Photo By AP
 11月の米大統領選で再選を目指した民主党のバイデン大統領(81)が21日、X(旧ツイッター)に投稿した声明で撤退を表明した。6月の討論会で言葉に詰まるなどし高齢不安が再燃、党内で高まった撤退圧力にあらがえなかった。共和党候補のトランプ前大統領(78)に対抗する後継候補としてハリス副大統領(59)を支持すると発表したが、「バイデン氏以上に不人気」とも評され、民主党が早期にまとまれるかが焦点になりそうだ。
 再選を狙った現職大統領が撤退に追い込まれるのは、ベトナム戦争の反対運動に直面した1968年のジョンソン大統領以来56年ぶりで、極めて異例だ。

 バイデン氏は声明で、就任からの3年半で「国家として偉大な進歩を達成した」と強調。「再選を目指してきたが、身を引いて残り任期に専念することが民主党や米国にとって最善だと考えた」と言及した。その後の別の投稿でハリス氏を後継指名。「民主党員よ、今こそ結束し、トランプ氏を倒す時だ。やってやろう」と訴えた。

 「撤退検討が必要」との考えを側近に示し“バイデン降ろし”の動きを加速させたとされるオバマ元大統領は声明で「自分自身よりも国民の利益を優先した」と称えた。

 【なぜこのタイミング?】
 バイデン氏は連日伝えられる有力者による包囲網整備に向けた動きに憤慨。再選への意欲を持ち続けた。観念したのは20日。コロナに感染し自主隔離中の19日に今週からの選挙戦復帰を表明したが、米CNNによると、20日に側近2人と会談。世論調査結果や党幹部の動きという現実を伝えられ、勝利の見込みがないと悟ったという。

 一方、ジル夫人ら家族は功績を損なわない撤退表明のあり方を模索していた。大きな決断をする際は家族の意見を重視してきたバイデン氏。20日夜の家族会議で撤退発表に向けた準備が進められることになった。共和党大会が19日に終了しており、ハリス氏を叩く場を与えない狙いがあったとの臆測もある。今後は後継指名したハリス氏が民主党大統領候補の最右翼。「バイデン氏の支持を光栄に思う。党の候補指名を勝ち取るため全力を尽くす」と語った。

 【なぜハリス氏?】
 副大統領という立場は当然だが、強みはバイデン陣営が集めた約1億ドル(約157億円)の選挙資金と組織を引き継げる点。来月の党大会まで1カ月を切った今、大きなメリットだ。また、女性初、黒人初、アジア系初の米副大統領となったハリス氏は性別や人種の壁となる「ガラスの天井」を突き破った象徴的人物。候補から外れることは差別を連想させ、民主党にマイナスに働く可能性もある。

 【なぜ不人気?】
 ただ、ハリス氏は副大統領就任後、移民対策や失言、スタッフの相次ぐ離職などで評価を落とし、副大統領支持率が30%を下回ったこともある。ハリス氏支持で一本化できなかった場合、党内が混乱に陥る可能性もある。

 そんな中、クリントン元大統領夫妻やカリフォルニア州のニューサム知事ら党の有力者が相次いで即時にハリス氏支持を表明した。最新の世論調査ではハリス氏の方がバイデン氏より「戦える」とのデータもある。ハリス氏一本化で一気に党が結束する可能性もある。トランプ氏陣営は早速、SNSでハリス氏批判を始めた。

 ≪8月19~22日に正式指名≫民主党の大統領候補は8月19~22日に中西部シカゴで開催される党大会で正式指名される。現時点でハリス氏が最有力だが、無条件で承認されるわけではない。バイデン氏は各州での民主党候補選びの結果、3900人の代議員の99%を獲得したが、これらの代議員にハリス氏を支持する義務はない。そのため、代議員の支持取り付けが最初の関門。党大会前には代議員の意思を確認する投票を実施するとの情報も。党大会までの候補者一本化を目指す。

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